ファーウェイ、米批判強める 政府提訴や意見広告
【北京=川上尚志】中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が米政府への批判を強めている。米政府は政府機関での同社製品の使用を禁じており、米政府を提訴する見通し。欧米メディアで自社の正当性を主張する取り組みも急いでいる。米国のファーウェイ批判の拡大に危機感を強め、対決姿勢を鮮明にしている。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は4日、ファーウェイが拠点を置くテキサス州の裁判所で米政府を提訴する準備を進めていると報じた。提訴の念頭に置くのは「2019年度米国防権限法」だ。
同法は米政府機関に対し、ファーウェイなど中国企業5社の製品や、部品を組み込んだ製品を調達することを禁じている。同法が裁判もなく特定の企業や個人に制裁を科す点が米憲法に違反するとファーウェイが主張する見通しという。
ファーウェイは4日「コメントを控える」とし詳細は明らかにしなかった。報道によると今週後半にも公表する可能性があるという。
ファーウェイは2月後半から、メディアを通じた米政府への反論を繰り広げている。2月末には米主要紙に意見広告を掲載し、米政府が「われわれに対する誤解を生み出している」と主張した。
さらに同社の任正非・最高経営責任者(CEO)は2月中旬、英BBCのインタビューで「我々は米国に押しつぶされない」と発言。その他の幹部も欧米メディアに積極的に露出し、米政府の主張に反論している。
ファーウェイ関係者によると、同社が最近になって米国への反論を強めているのは「ペンス米副大統領の訪欧が転機になった」という。
2月中旬のミュンヘン安全保障会議で、ペンス氏は「(ファーウェイが)中国の法律で巨大な保安組織にデータを提供するよう要求されている」と批判した。
ファーウェイと米国は、18年12月にカナダで逮捕された任CEOの娘である孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を巡っても対立する。米国はイランとの違法な取引に関わった罪などでファーウェイと孟氏を起訴し、カナダに孟氏の身柄送還を要請している。今後カナダで審理が始まるが、孟氏側の弁護団は全面的に争う方向で、長引く可能性がある。