本土最南端の祭り再現、映画「きばいやんせ!私」
本土最南端の南大隅町を舞台にした映画「きばいやんせ!私」が3月9日に公開される。「百円の恋」「嘘八百」の武正晴監督と脚本家の足立紳がタッグを組んだコメディーだ。不倫報道で左遷されたテレビ局の女性アナウンサー貴子(夏帆)が「御崎祭り」の取材のため幼少期を過ごした同町を再訪。同級生で畜産農家の太郎(太賀)ら地元の人々との交流を通じて人生と向き合う姿を描く。
圧巻なのは毎年2月に開かれている御崎祭りを再現した場面だ。「1300年も続く伝統の祭り。東京にいたら見えない、そこにしかない地方の土着的なものを出演者の努力や地元の人たちの協力で映し出せた」と武監督。雨が降る悪天候の中、1日で撮りきった。
愛知県知多市の出身。10代の頃は名古屋の映画館でアメリカン・ニューシネマやニュー・ジャーマン・シネマを貪るように見た。「不細工な人を主人公に描いていることに驚いた。今もそういう主人公を求めてしまうのは、これらに影響を受けたからだと思う」
ネットフリックスなどの動画配信サービスが定着、作品を世界に発信できる時代になった。「誰も試みたことのない、世界に負けない映画を作らないといけない。見る側に挑み、奮い立たせるような作品を世に問いたい」(近藤佳宜)