ファーウェイ、米政府を提訴へ 米紙報道
【ニューヨーク=高橋そら】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は4日、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が米拠点を置くテキサス州の裁判所で米政府を提訴する準備を進めていると報じた。関係者によると、裁判もなく米政府機関での同社製品の使用を禁止したことは不当だと訴える方針。今週後半にも公表する可能性があるという。
同紙の報道によるとファーウェイ側は、同社や中興通訊(ZTE)など中国のハイテク産業5社などへの締め付けを大幅に強化した「2019年度米国防権限法(NDAA2019)」の一部に異議を申し立てる方針。裁判もなく特定の企業や個人に制裁を科す法律は米憲法に違反すると主張する可能性が高いという。
同法は18年に超党派の賛成で上下両院で可決し、トランプ米大統領が署名して成立した。
トランプ米政権はファーウェイへの追及を強めている。米司法省は1月にイランとの違法取引と企業秘密の窃盗の罪で同社や関連企業などを起訴した。ファーウェイは否定しているが、米政府は「スパイ活動に使われている」として同社製通信機器の排除を決定、同盟国に対しても同様の措置を求めている。ポンペオ米国務長官は同社の技術を使う国とは「情報共有ができなくなるだろう」と警告した。
ファーウェイを巡っては、18年12月にカナダで逮捕された孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)の米国への身柄引き渡しも焦点になっている。カナダ司法省は米国からの要請を受け、近く同氏の身柄引き渡しに関する審理を開くと決めた。孟氏側は米国の政治的な動機が背後にあるなどとして全面的に争う方向だ。
中国側は「米国は国家の力を動員して特定の企業をおとしめ、打撃を与えている」と非難。全面的に反対する姿勢を崩していない。孟氏の引き渡し審理入りについても「中国国民の合法的な権利に対する深刻な侵犯であり、深刻な政治的事件だ」とカナダ政府を非難する声明を発表した。
ファーウェイは報道について「コメントは控える」と述べるにとどめ、提訴に関する詳細を明らかにしなかった。