ロシア大統領、INF条約の履行停止命令に署名
【モスクワ=小川知世】ロシアのプーチン大統領は4日、中距離核戦力(INF)廃棄条約の義務履行を停止する大統領令に署名した。米国が同条約の違反を改めるまで履行を停止するとの内容で、即日発効した。米国が条約破棄をロシアに通告した2月初め以降、この条約を巡る米ロ間の協議は進んでおらず、条約が通告から半年後の今年夏にも失効する見通しが一段と強まった。
ロシア大統領府が4日発表した。プーチン氏は米国がロシアの違反を理由に条約破棄を通告した2月に「同等の措置で対抗する」として、ロシアも履行を停止すると表明していた。大統領令で改めて条約停止に向けた手続きを踏み、米国にロシアとの新たな軍縮協議を促す狙いもあるとみられる。
プーチン氏は2月にINF廃棄条約が禁じる中距離ミサイルなど新型兵器の開発方針を打ち出した。米国が建設的な対話に応じる姿勢を見せない限り、ロシアからは軍縮協議を働き掛けない構えも示し、条約失効を巡り対米非難を強めている。