国内初のロケット海上発射、千葉工大とスタートアップ
千葉工業大学と宇宙スタートアップのアストロオーシャン(東京・中央)は2日、千葉県網代湾沖の海上で全長1.7メートルの実験用ロケットを打ち上げた。海上でのロケット発射実験は国内初とみられる。海に浮かべた発射台から打ち上げたロケットは高さ200メートル近くまで上がった。海上発射が実用化すれば、日本のロケット発射場不足の解消につながりそうだ。
千葉工大の惑星探査研究センターとアストロオーシャンが共同研究として実験した。千葉県御宿町の海岸から500メートル沖に、アルミ製の板などで組んだ約10メートル四方の簡素な発射台を浮かべた。千葉工大の学生らが開発した超小型ロケット1機を打ち上げた。洋上の発射装置は両者で設計した。
同大工学部の和田豊准教授は「海上の揺れが発射にどう影響するかなど一定のデータとノウハウが得られた」と実験の成果を評価した。2020年に高度30キロメートルに達するロケットを海から打ち上げることを目指し、今後も同社と協力してロケットの開発や発射台の改良を続けるという。
アストロオーシャンは18年に創業したスタートアップ企業。将来は中古の石油掘削設備をロケット発射台として整備し、小型ロケットに打ち上げ場所を提供する事業モデルを描く。
企業が主導する宇宙ビジネスが活気づくなか、衛星開発などを手がける新興企業が増えている。ただ国内では種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)や内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝付町)にロケット発射場が限られ、老朽化もあり整備が課題だ。今後は小型ロケットを発射する需要が増えると見込まれ、海上打ち上げ実用化への期待は大きい。