中国、カナダに反発 ファーウェイ副会長審理許可で
【ニューヨーク=高橋そら】中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)の身柄を米国に引き渡す審理をカナダ司法省が許可したことについて、中国外務省の陸慷報道局長は2日「強い不満と断固とした反対」を表明した。審理は長期化するとの見方もあり、最終的に引き渡されるかどうかは不透明だ。
カナダ司法省は同日の声明で、審理許可は「(米国が示した)証拠の徹底的かつ緻密な検討によるものだ」と述べた。「政治の関与や干渉は一切ない」(トルドー首相)とするカナダ政府の立場を改めて鮮明にした。
中国側はカナダ側の主張に反論する。陸氏は「中国国民の合法的な権利に対する深刻な侵犯であり、深刻な政治的事件だ」と指摘した。孟氏の弁護団は「米国による起訴は政治的な動機によるものだ」との声明を出し、争う姿勢を見せた。
カナダの裁判所は近く孟氏の引き渡しを巡る公聴会を開く見通し。米国から提供された証拠をもとに、同氏の問われている罪状がカナダ国内法でも罪にあたるかなどを審理する。「孟氏が異議を申し立てれば公聴会のプロセスは遅れる。何カ月もかかるだろう」(米法律事務所のブライアン・ジェイコブス弁護士)
仮に裁判所の判事が引き渡しが妥当と判断すれば、最終決定はカナダ司法相の手に委ねられる。不当だと判断されれば孟氏は釈放される。
ファーウェイをめぐる米中対立の背景には、次世代通信規格「5G」を巡る綱引きがある。トランプ米政権は安全保障上の脅威を理由に、同盟国などに同社製品の締め出しを求めるなど、包囲網の構築を目指している。カナダは米国と機密情報を共有する5カ国でつくる「ファイブ・アイズ」の一つだが、5Gを巡っては「適切な方法で行う必要があることを急いではいけない」(ガルノー運輸相)と締め出しの判断を先送りしている。
一方、ファーウェイは自社製品への懸念を否定したうえで、米との対決姿勢を強める。2月末には米主要紙に「あなたが耳にしたこと全てを信じないで下さい」とする広告を掲載し、米政府が「われわれに対する誤解を生み出している」と主張した。同社の任正非・最高経営責任者(CEO)も2月、英BBCで「我々は米国に押しつぶされない」と述べた。