監察委員長「隠蔽に当たらず」 予算委、統計不正で集中審議
衆院予算委員会は28日、厚生労働省の毎月勤労統計の不正調査問題をめぐって集中審議を実施した。参考人として出席した特別監察委員会の樋口美雄委員長(労働政策研究・研修機構理事長)は厚労省が「不正を隠そうとした意図があるとまでは認められないと判断した」と述べ、組織的な隠蔽を改めて否定した。
立憲民主党会派の大串博志氏(無所属)が「厚労省は意図的に隠しているのではないか」とただすと、樋口氏は「隠蔽行為は法律違反や極めて不適切な行為を認識しながら意図的に隠そうとする行為と定義した」と説明。「ことさらに隠そうとした意図があるとまでは認められないと判断した」と反論した。
一方で樋口氏は「隠蔽があったかなかったかは白黒ではなく非常にグレーのところがある」とも語った。「白であるとは私どもは言っていない。組織的隠蔽があったと言うことはできない」と話した。
野党は調査手法の変更をめぐり、厚労省が首相官邸の意向を踏まえて変更したのではないかとみる。国民民主党の原口一博国会対策委員長は「官邸の関与について報告がない」と批判した。樋口氏は「統計法上きちんとした手続きを経ており、合理性を欠いているとは言えない」と答えた。
厚労省は毎勤統計で、従業員500人以上の事業者は全て調べるルールを守らず、東京都では2004年から3分の1程度しか調べていなかった。18年からは無断で統計上の復元加工を始めていたことも判明している。特別監察委が27日に公表した追加報告書では組織的な隠蔽行為があったとは認定しなかった。
安倍晋三首相は追加報告書について「概要の説明は受けたが、詳細は読んでいない」と強調。「中立的、客観的な立場から精力的に検証作業をしていただいた結果と考えている」と評価した。