今年好調の武豊、G1制覇 50歳前に「ブレーク」
武豊(49、栗東・フリー)が年明けから好調だ。24日現在で26勝を挙げ、最多勝ランキングで2位につける。17日のフェブラリーステークス(東京、ダート1600メートル)では早くも今年のG1初勝利を飾った。2018年に前人未到の中央競馬通算4000勝を達成し、この3月で50歳を迎える希代の名手は、華麗な手綱さばきで今年もファンを沸かせている。
年明け最初の開催となった1月5日に2勝を挙げると、翌6日に4勝をマークし、スタートダッシュを決めた。その後は同月19日まで勝ち星から遠ざかったが、26日の京都、2月2日の中京で各3勝を挙げると、同月9日の小倉では4勝の固め打ちで20勝一番乗りを果たした。24日に勝ち星の数でクリストフ・ルメール(39、栗東・フリー)に並ばれ、2着の数の差で最多勝ランキング首位の座を譲ったが、僅差でトップを争う。
17日にはインティ(牡5、栗東・野中賢二厩舎)に騎乗して、フェブラリーSに出走。先手を取って前半600メートル35秒8、後半600メートル35秒4という絶妙なペース配分で馬を誘導し、G1を制覇した。7連勝でG1勝ちを収めたインティについて「ニュースター誕生と思います」とレース後のインタビューで語った武豊は、今年の自身の好調について問われると「ブレークしてますね」と笑わせた。
平成の30年間は武豊の時代だった。1989、90、92~00、02~08年と最多勝を獲得。この間タイトルを逃した2年のうち01年はフランスの名調教師、ジョン・ハモンド氏の厩舎の主戦騎手として国外に腰を据えて騎乗をしていたためで、拠点を日本に戻すと03年に史上初の年間200勝を達成。04、05年もこの大台を超え、05年の212勝は18年にルメールに更新(215勝)されるまで史上最多の年間勝利数の記録だった。
すべての競馬関係者にとっての目標である日本ダービー(G1)も平成の間だけで歴代最多となる5勝を積み上げた。近年は日本中央競馬会(JRA)の通年免許を持つルメールやミルコ・デムーロ(40、栗東・フリー)、短期免許で来日する外国人の名手、地方競馬から中央に移籍してきた騎手に、中央生え抜きの日本人騎手は押され気味だ。武豊も10年の落馬負傷などで苦しんだ時期もあり、最多勝からは長く遠ざかっている。
18年9月29日に中央通算4000勝を飾った際に武豊は「難しいとは思うが、もう一度、最多勝を取りたい」と語った。生ける伝説ともいえる武豊の最多勝争いから目が離せない。
(関根慶太郎)