ファーウェイ製品の排除は消費者に不利益、幹部語る
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)のワイヤレスソリューション部門の周躍峰(ピーター・ジョウ)最高マーケティング責任者(CMO)は2019年2月25日、世界最大の携帯関連見本市「MWC19バルセロナ」(19年2月25~28日)で各国メディアの取材に応じた。
周CMOは、米トランプ政権が同社製通信機器についてセキュリティー上の理由から米国や同盟国の通信網からの排除を求めている問題について記者からの質問に答え「第3世代移動通信システム(3G)と異なり、現行の4Gでは世界中の通信業界関係者がLTE(携帯電話用の通信回線)という標準規格をつくったことで迅速な普及につながった。この経験から我々は、グローバルでの技術の共有が重要だと理解した」と語り、ファーウェイ製品は4Gや次世代高速通信規格(5G)の標準仕様に準拠しているとした。
そのうえで「5Gをはじめとする当社製品が他社製品と競争することは、通信機器業界を健全にするし、同業界の成長にも寄与する」と語り、フィンランドのノキアやスウェーデンのエリクソンなど競合他社との競争のなかで製品の安全性や透明性が確保されているとの認識を示した。
周CMOは米国などによるファーウェイ製品の排除の動きに対して「一部の国が政治的要因で当社製品を拒絶しているが、それはそれらの国の通信の発展が遅れることにつながる。さらに(ファーウェイ製品を使ってネットワークを構築する場合より)多くの出費をすることになり、それらの国の消費者にとっても不利益になる」と指摘した。
ファーウェイ製品にバックドア(裏口)があり機密情報が中国へ筒抜けになるとの疑念については「(創業者で最高経営責任者の)任正非が先日強調していたように、仮にそういうことがあれば当社は解散する」と改めて否定し、「セキュリティーの本質は技術の問題であり政治問題化すべきではない。世界中の技術者がセキュリティーについて話し合い標準化すべきだ」と強調した。
周CMOの取材は「5Gに関するラウンドテーブル」として実施されたが、各国メディアの質問はバックドア疑惑や米国などの製品排除に関連した話題が大半を占め、一連の問題に関する各国内の関心の高さをうかがわせた。
(日経 xTECH/日経コンピュータ 金子寛人)
[日経 xTECH 2019年2月26日掲載]
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