名門「メリルリンチ」に幕 米バンカメがブランド改称
米金融大手バンク・オブ・アメリカ(BofA、バンカメ)は25日、投資銀行や証券業務などのブランド名から「メリルリンチ」を外すと発表した。ソロモン・ブラザーズやリーマン・ブラザーズに続き、米ウォール街の名門ブランドがまた一つ消滅する。
バンカメはこれまでM&A(合併・買収)助言、株式や債券のトレーディング業務のブランド名として「バンクオブアメリカ・メリルリンチ」を使ってきた。今回、全社的なブランド再構築の一環で「BofAセキュリティーズ」に変更する。ただ資産運用業のブランドとして「メリル」は残す。日本でも証券ビジネスのブランド名はグローバルに合わせる。
旧メリルリンチは1914年にウォール街で営業を始めた老舗。日本では1997年に破綻した旧山一証券の支店網の大半を引き継いだことで話題になった。
メリルリンチは米三大投資銀行の一角を占めていたが、リーマン・ショックのさなかの2008年、事実上の救済でバンカメ傘下に入った。
米商業銀大手のバンカメは、メリルリンチ買収で悲願だった投資銀行業務の拡大を実現した。ただ同じ時期に買った住宅金融会社とメリルリンチが金融危機の元凶とされた住宅ローン担保証券の不正販売に手を染めていたため、バンカメは巨額の罰金や訴訟費用に見舞われた。10年に最高経営責任者(CEO)に就いたブライアン・モイニハン氏は「負の遺産」の処理に追われブランド戦略は後回しになっていた。
リーマン危機から10年が経過。バンカメの18年12月期の純利益は281億ドル(約3兆円)に達し、過去最高益を更新した。時価総額ではJPモルガン・チェースに次ぐ米銀2位だ。商業銀部門と投資銀部門の融合が進み、経営がようやく軌道に乗ってきた。老舗ブランドとの決別は、現在の成長路線への自信の表れだろう。(ニューヨーク=宮本岳則)