迫力増す日本ハム打線 カギ握る王柏融や清宮
日本ハムに強打の予感が漂っている。昨季までのチームは好打者が多い半面、迫力に欠けるイメージがあったが、新戦力の加入や若い力の成長で今年は迫力が増した。キャンプの実戦でも打線は活発、定位置争いも熱を帯びている。
順調なスタートを切ったのが台湾リーグから加入した王柏融だ。同リーグで2度の打率4割に加え、2017年には三冠王にも輝いた右投げ左打ちの強打者だ。
レベルの高い日本の投手に対しても順調に結果を出している。紅白戦や他球団との練習試合では右へ左へ力強い安打を量産。オープン戦初戦となった24日の巨人戦では4番に座り、右前適時打を放った。「まだ練習にすぎない」と本人は繰り返すが、スタンスを広めに取った軸のぶれないスイングと選球眼に期待は高まる。
16日の紅白戦では中堅左に一発も放った。これに喜んだのが栗山英樹監督だ。「中飛かな、と思った当たりがスタンドに入った。点を取るにはOPSが大切になる。ウチに欠けていた部分をもたらしてくれるのが王柏融かもしれない」
OPSとは出塁率と長打率を足した数字で打率以上に得点に直結することがわかっている。昨季3位だった日本ハムの得点は589で首位西武に203、2位ソフトバンクに96離された。上位2球団がともに長打率4割5分台を記録したのに対して日本ハムは3割9分3厘。ロッテに移籍したブランドン・レアードは一発はあっても確実性に乏しかった。高い出塁能力と長打力を併せ持つ王柏融は、その穴を埋めてあまりある存在になり得る。
長打力不足の解消に向けては2年目の清宮幸太郎もカギを握る。天性の長距離砲はプロでの1年間を経て一段と飛距離が増した。21日の楽天との練習試合ではバックスクリーンまで運び、24日の巨人戦でも第1打席初球の変化球を捉え、大飛球をフェンス手前まで飛ばした(結果は中飛)。誘い球の変化球の見極めがよくなり、甘い球のミスショットも減っている。多少の打ち損じも長打になるパワーは大きな魅力だ。
とはいえ、定位置獲得へのハードルは低くない。本業の一塁には主将の中田翔、左翼には実績のある大田泰示、守備にも定評のある王柏融らがいる。レアードが抜けた三塁は長打力のある横尾俊建、スピードのある浅間大基らが猛アピールを続け、左翼と三塁を守れる近藤健介が指名打者に回る可能性も高い。
栗山監督は「名前や年齢は関係なく、自分でポジションを取ってくださいというシーズン。え、こんな選手が出てくるの、というのがなければペナントレースを勝ちきるのは難しい」と強調する。計算は立ちにくいが、ときとして想定外の爆発力も秘めるのが若さの魅力。3年ぶりの優勝を目指すチームは活気にあふれている。
(吉野浩一郎)