サウジアラムコ、中国で石化コンビナート、1兆円
【北京=多部田俊輔】中国の遼寧省政府は23日、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコと中国国有企業2社の合弁で遼寧省に石油化学コンビナートを建設すると発表した。投資額は約100億ドル(約1兆1000億円)で、中国で最大の合弁会社としている。中国とサウジはともに米国との溝が広がっており、習近平(シー・ジンピン)最高指導部が旗を振る広域経済圏構想「一帯一路」を軸に関係強化に動いた格好だ。
中国国有でミサイルや戦車などを製造する中国兵器工業集団が36%、サウジアラムコが35%、遼寧省政府傘下の複合企業、遼寧盤錦鑫誠集団が29%出資して合弁会社を設立し、石化コンビナートを建設する。立地場所は遼寧半島の西側の付け根に位置する盤錦市で、2024年の稼働を予定している。
3社の合意によると、コンビナートの中核となる製油所の処理能力は日量30万バレルで、年間生産能力150万トンのエチレンプラントを建設する計画。サウジアラムコが原料となる原油を最大で7割供給するとしている。中国で最大級のコンビナートとなる。
訪中したサウジアラビアのムハンマド皇太子と中国共産党序列7位の韓正(ハン・ジョン)副首相の立ち会いのもとで、22日に調印式を北京市で開いた。アラムコのアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)は「従来の原油売買の関係から、経済成長を期待できる中国に投資して成長する」とコメントした。
習国家主席は13年に一帯一路の構想を発表。国内経済の減速に対応し、一帯一路沿線国との貿易や投資を増やすことで経済成長を持続する戦略を描く。トランプ米大統領が中国に貿易赤字の縮小やハイテク産業の育成に転換を求めていることから米中対立が続いており、沿線国からの投資の重要性も高まっていた。
一方、サウジも著名記者ジャマル・カショギ氏の殺害事件をめぐって、皇太子が関与したとの見方から欧米の批判が強まっている。国際的に孤立しており、今回の大型石化プロジェクトで中国との関係を強化する狙いがありそうだ。
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