千葉市と千葉県市原市、工場夜景で観光振興
千葉市と千葉県市原市が京葉臨海工業地帯の工場夜景を生かした観光振興に力を入れている。千葉みなと地区から出航する工場夜景を楽しむクルーズはほぼ満席という人気ぶり。千葉市は2018年末に桟橋を新設し、増便の環境を整えた。両市は新たな観光資源と位置付け、魅力を発信している。
両市は夜景観賞スポットやスマホでの工場夜景の撮影方法などを紹介するガイドマップを共同で作成した。「工場夜景の日」である2月23日に合わせ、アリオ市原店(市原市)とアリオ蘇我店(千葉市)で工場夜景写真展を開催中だ。
工場夜景観光で特に人気が高いのは、海上から観賞できるクルーズ船だ。千葉ポートサービス(千葉市)が運航するクルーズ船は3月分までほぼ満席という。千葉市は18年12月、クルーズ船の発着所となる千葉みなと地区で2基目となる旅客船桟橋の運用を始め、増便も可能になった。
市原市は18年10月、工場夜景を観光資源とする全国の都市で構成する全国工場夜景都市協議会に加盟。両市が同月開催した「全国工場夜景サミット」には、川崎市や堺市など全国11都市が参加した。
千葉市の熊谷俊人市長は夜景サミットで「工場は環境問題などもあったが、今では夜に見せる幻想的な輝きに注目が集まっている」と指摘。市原市の小出譲治市長は「工業地帯は市の経済の中枢。観光資源として工場を身近に感じてもらえるよう環境を整備したい」と述べた。
工場夜景の人気が広がれば、夜間に飲食や娯楽を健全に楽しむ「ナイトタイムエコノミー」の盛り上がりにつながる。両市は工場夜景の魅力を全国に発信し、周辺地域の観光振興や消費拡大につなげる考えだ。