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首脳陣・フロントが押さえたい大物新人のトリセツ

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中日の松坂大輔がファンとの接触で右肩を痛めて、沖縄・北谷の1軍キャンプから離脱した。全盛期をとうに過ぎたとはいえ、集客力は今も「怪物」級。松坂がいなくなり、お客さんは北谷を訪れる楽しみが一つ減った。

こういうときに球団が考えるのが、新たな集客の柱を立てること。今の中日で誰が松坂に次ぐ柱になり得るかと考えて、真っ先に思い浮かぶのはドラフト1位ルーキーの根尾昂(大阪桐蔭高)だろう。

沖縄・読谷の2軍キャンプにあれだけの数のお客さんを呼ぶのだから、根尾のスター性はなかなかのもの。1月に肉離れした右ふくらはぎのリハビリが長引いているようだが、仮に状態が良くなったとして、松坂がいなくなった1軍に根尾が昇格すれば読谷のお客さんをごっそり引き連れてくるわけで、再び北谷が活況を呈することになる。

だが、そうした皮算用は根尾のためにならない。高校時代に投手と野手の二刀流で鳴らしただけあって、バランスの良さは光る。ただ、体が細く、まだパワーが足りない。手先の器用さでバットを出すところがあるのも気になる。プロでは野手一本、正遊撃手を目指してやっていくというが、現時点では京田陽太に勝つだけの力はない。1軍に上がれば、今にも増して多くのファンの視線を集めることになる。体も形もできあがっていない段階で過度な期待をかけられても、重荷になるだけだ。そこで結果が伴わなければ、実力主義で勝負している他の選手が根尾や首脳陣をいぶかることになる。

未完成の選手の重用は危険

私自身がそういう経験をしてきた。阪神時代の1988年、就任したばかりの村山実監督はオープン戦からよく若手を使った。特に出番を与えたのが和田豊、大野久、中野佐資の3人で、皆、身長が170センチ近辺だったことから「少年隊」と名付けられた。和田は後にものになったが、大野と中野には負ける気がしなかった。

そうやって未完成の選手を重用したから、オープン戦の成績は散々だった。中堅やベテランの間に不満がたまり、裏方の人たちまでもが「何でこんな選手ばかり使うんだ」と言い出すありさまだった。

オープン戦の終盤、東京での試合前のことだった。ミーティングで監督が「何とかこの苦境を打開したい」と、ベテランに意見を求めた。最初に指名された掛布雅之は「監督の考えが選手に伝わりにくい感じがします」と話した。新聞を通じてしか監督の考えを知ることがない状況を憂えたものだった。次に柏原純一さんが「ベテランでも、悪かったら叱ってください」と言った。3番目に意見を求められた私は「勝つための野球をしてほしいです」と答えた。場が静まりかえった。

その前の年のファン感謝デーで、指揮を執ることが決まったばかりの村山監督は「今、チームは過渡期なので……」とあいさつし、若手を重点的に使っていく方針を示した。私たちベテランには「若いのを育てている最中だから、負けても我慢してくださいね」と言っているように聞こえた。Aクラス入りの可能性がなくなった公式戦の終盤なら、次のシーズンを見据えて若手を試すことはあり得る。だが、各球団がよーいどんで優勝を目指そうという段階から実力が伴わない選手を使うのは筋違いで、ファンにも失礼だ。その思いを「勝つための野球を……」という言葉に込めた。

この発言がかんに障ったのか、それから監督は私をあまり使ってくれなくなった。「無礼講だ」というので思いを素直に言ったまでだったのだが……。ベテランで真っ先に2軍に行かされ、「このまま1軍に上げないつもりではないか」と感じた。当時まだ34歳。そのまま不本意な形で引退に追い込まれてはたまったものではない。「村山さんの間は絶対にクビにはなるまい」と、2軍で必死に頑張った。

やっとの思いで1軍復帰を果たすと、その年だけで3本のサヨナラ本塁打をマーク。引退を免れ、監督が中村勝広さんに代わって2年目の91年までユニホームを着ることができた。反骨のエネルギーを胸に37歳までプレーできたことを思えば、村山さんに感謝すべきかもしれない。

実力が伴っていない状況で、人気に頼って若手を使えばチームに不協和音が生じかねない。私が85年から2年間在籍した西武にその手の不穏なムードが漂うことがなかったのは、広岡達朗監督が実力至上主義を徹底していたから。だからこそ、他チームの追随を許さない黄金時代を築くことができた。

高校時代の根尾と同じく、同志社大で投手にも取り組んだ私は中日入りした76年、すぐに1軍デビューを果たした。だが、代打で時折打席に立つような起用では伸びないと思い、自ら2軍行きを志願した。2軍で守備や走塁など野手としてのレベルの向上に努めた結果、1軍に戻ると出場機会がぐんと増え、規定打席に達しないながらも打率2割7分7厘で新人王を受賞した。

目先の集客より実力で判断を

2軍とはいえ、しっかり練習し、試合にたくさん出たことがよかった。その日々がなく、1軍で代打で少し出るという、中ぶらりんの状態が続いていたらどうなっていたか。けがで2軍キャンプからのスタートとなった根尾も、じっくり体をつくれる点ではむしろよかったという見方もできる。

高校出の1年目で1軍のレギュラーポジションを取るケースはまれだ。レギュラーをつかんだとしても、いい成績を残すことは難しい。やはりゴールデンルーキーとしてPL学園高から中日に入った立浪和義も、1年目の打率は2割2分3厘だった。

40歳までプレーすることを視野に入れれば、根尾はまだ18歳。焦らず、有意義に一日一日を過ごしてもらいたい。フロントや首脳陣は選手のことを第一に考え、特に監督やコーチは人気面の旬ではなく、実力的に旬の選手を使うようにしてほしい。そして、新人の取り扱いは慎重に。目先の集客効果に心を奪われず、どっしり構える姿勢が選手を育てる。

(野球評論家)

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