日本ハム、得点力アップへ清宮と王柏融に期待
キャンプリポート
キャンプ地を米アリゾナから沖縄に移した直後の16日、日本ハムの紅白戦に先発したのはドラフト1位の吉田輝星(秋田・金足農高)と同5位の柿木蓮(大阪桐蔭高)。昨年夏の甲子園決勝で投げ合った両右腕の"再戦"に、那覇から約100キロ離れた国頭村まで多くのファンが詰めかけた。
先に登板した吉田輝は1死から大田泰示にセンターバックスクリーンへのソロを打たれながらも、清宮幸太郎を二ゴロに抑えるなど1回1失点。その裏の柿木は三者凡退で初陣を飾った。
「結果どうこうではなく、2人とも非常にいいスタートを切った」と栗山英樹監督。指揮官が高校生ルーキーに期待するのは「即戦力」ではなく、チームメートを刺激する「触媒」としての役割だ。状態がよくなかった大田の一発は「輝星が引き出してくれた面がある」。2人と並んでブルペンで投げれば、先輩たちも気合が増す。「足し算ではなく、かけ算でチーム力を最大にしたい」
昨季は前年の5位から巻き返して優勝争いにも絡んだが、終盤の失速で3位に終わった。上位2球団に水をあけられたのが攻撃力だ。589得点は首位西武より203点少なく2位ソフトバンクに96点及ばず。本塁打数や長打率の差が響いた。
得点力アップに向けて期待が高まっているのが新戦力の王柏融だ。台湾プロ野球で2度の打率4割を記録した25歳。17年には三冠王にも輝いた左の強打者はキャンプの実戦でも広角に安打を重ねる。16日の紅白戦では中堅左に一発も放った。
2年目の清宮もキーマンになる。「打球が飛ぶようになった」とフリー打撃では大きな当たりでファンを沸かせる。「昨年に比べて走塁や守備の意識も上がった」と定位置獲得を狙う。
栗山監督は「今年は4番を誰にするかはこだわらない」と話す。王柏融と清宮が活躍すれば、不動の4番の中田翔も安穏としていられない。
19日には3日前の紅白戦に登板した白村明弘の野手転向が明らかになった。15年には50試合に登板した27歳も昨季は3登板のみ。再起に向けたチーム側からの提案に「野球がやれるならどこでもいい。投手に未練はない」と目を輝かせた。
吉村浩ゼネラルマネジャーは「チーム編成においては配置と評価を大切にしている。評価の物差しが独特なので、異端に見えるかもしれませんが」と説く。"化学変化"を目指して次々と打たれる策。ふたを開けてみるのが楽しみだ。(吉野浩一郎)