鉄連会長「インパクト極めて大きい」 米自動車輸入制限なら
日本鉄鋼連盟の柿木厚司会長(JFEスチール社長)は21日の定例記者会見で、米国の通商政策による自動車の輸入制限の可能性について「日本の鉄鋼業へのインパクトは極めて大きい」と述べ、強い憂慮の念を表明した。米国への自動車輸出が鈍れば、主要素材の鉄鋼産業も打撃を受けるためだ。
米国では17日、商務省が安全保障を理由に検討している自動車や部品への輸入制限について、トランプ大統領に調査報告書を提出したと発表した。トランプ大統領は受領後90日以内に輸入制限を発動するか判断する。
日本から米国への完成車の輸出は年間約170万台。柿木会長は輸入制限の可能性を見据え「鉄連として日本政府に影響の大きさを発信していく」と対応を働きかける方針を示した。
一方でホンダが19日、2021年中に欧州唯一の自動車生産拠点である英国工場の生産を終了すると発表したことについて柿木会長は「英国への鉄鋼輸出量は少なく、直接的な影響は小さい」と指摘。大きな懸念はないとしながらも「今後の自動車産業の拠点の動きは注視する必要がある」と語った。