前首相秘書官「部分入れ替え検討すべき」 厚労省に伝達 統計不正
衆院予算委員会は20日、安倍晋三首相らが出席し集中審議を実施した。厚生労働省の毎月勤労統計の不正問題に関し、当時の首相秘書官が厚労省を通じて有識者委員会に「部分入れ替え方式を検討すべきではないか」と伝え、調査方法の変え方について具体的な意見を述べていたことが分かった。根本匠厚労相が明らかにした。
根本氏によると、2015年9月に厚労省職員が同省の有識者委員会「毎月勤労統計の改善に関する検討会」の阿部正浩座長にメールで「委員以外の関係者から『部分入れ替え方式を検討すべきではないか』との意見があった」と伝えた。
根本氏は「委員以外の関係者」について「事務方が当時の担当部長に確認した」と述べ、当時、首相秘書官だった財務省の中江元哉関税局長だったとの認識を示した。
中江氏は「記憶が全くない」としつつ「部分入れ替え方式の方が経済の実態をよりタイムリーに表せるなら、専門的な検討を進めてもらったらよいのではないかと言ったかもしれない」と語った。
立憲民主党の長妻昭代表代行への答弁。
毎勤統計は当時、従業員30~499人の中規模事業所について調査対象を数年ごとにすべて入れ替える方式を採用していた。事業所の入れ替えに伴い賃金伸び率が低めに出る傾向があった。有識者検討会の議論を経て、18年1月に毎年部分的に入れ替える方式に変更した。
野党はこの方式変更の経緯を問題視。中江氏からの指摘を記したメールは15年9月16日に開いた有識者による検討会最終回の2日前に送られており「検討会の判断に影響を与えた」とみて追及を強めている。
国民民主党の玉木雄一郎代表は「官邸主導でアベノミクスの成功を演出するための意図的な統計手法の変更だ。引き続き厳しく追及していきたい」と強調。「統計がゆがめられているという疑惑が深まった」と指摘した。