JR北、日ハム球場の新駅検討表明 4者協議で
プロ野球の日本ハムファイターズの新球場を含むボールパーク(BP)の建設を巡り、交通アクセス改善の議論が本格化する。球団や北海道北広島市、JR北海道などが27日、4者協議を開催。JR北がBPに隣接する新駅の必要性を認めた上で、設置の時期や費用などの検討を表明する見通しだ。新駅設置が正式に決まれば、BPへの期待も一層高まりそうだ。
27日の4者協議にはJR北の島田修社長、北広島市の上野正三市長、球団の竹田憲宗社長、BP準備会社の北海道ボールパークの福田要社長が出席。新駅の整備について時期や費用などを本格的に検討することを表明する。
新駅は札幌駅と新千歳空港駅を結ぶJR千歳線に設置する方向で検討する。JR北の試算によると、平日の試合後に新駅始発で臨時列車を運行すれば、札幌方面に1時間当たり平均5000人程度を輸送できるという。
ただ、費用負担の大きさやダイヤの調整が課題だ。今後は実務者間で協議を重ねた上で、設置の可否を最終判断する。
市や球団はこれまで、JR北に新駅設置への協力を要請していたが、JR北は態度を明らかにしていなかった。新駅設置が実現すれば、BPの収益性や観戦客の利便性が高まる。
2023年に開業する予定の新球場の課題の一つが交通アクセスの改善だ。現在の最寄りのJR北広島駅から新球場まで徒歩20分ほどかかり、試合後の混雑も懸念される。このため、新球場に隣接する新駅の設置が焦点になっている。
交通アクセスの改善では北広島駅の改修や周辺道路の整備を23年までに終えることが決まっている。JR北は駅改修のための現地調査や概略設計を進めている。ホームや通路、エスカレーターを増設し、試合後の混雑時も利用客の安全を確保できるようにする。
新球場へのシャトルバスの運行を見据え、駅前広場の改修やバスターミナルの増強も行うとみられる。JR北は19年中に詳細設計を終え、20年に着工、23年の完成を目指す。
市は周辺道路の整備を進める。新球場北側の道路を西に延伸し、市道につなげる道路(2.8キロメートル)と、北側のJR千歳線をまたいで札幌方面に続く国道274号に接続する道路(1.7キロメートル)の2本を計画。このうち、西への延伸道路は20年に着工し、23年までの完成を目指す。国道274号への接続道路はJR北との交渉などが必要なため、開通は23年以降になる見込みだ。
市は新駅も含めた交通インフラが整備された場合の交通分担率を試算。新球場の収容人数の4割に当たる1万3500人がJR線、3割が自動車、2割がバスを利用すると想定している。市は試合後の退場時刻によって駐車料金に差をつけるなど、試合後の混雑緩和策も検討している。
新球場の誘致は18年10月に正式決定した。設計と施工は大林組と米設計大手のHKSが担当する。収容人数は3万5000人。20年5月に着工し、23年3月の開業を目指す。建設予定地は現在空き地(約37ヘクタール)になっている。(向野崚)