野菜収穫ロボのinaho優勝、ICCコンテスト
スタートアップや大企業の新規事業担当者らが集まるカンファレンス「ICC(インダストリー・コ・クリエーション)サミットFUKUOKA2019」が19日、福岡市内で開幕した。事業モデルコンテストの「スタートアップ・カタパルト」で、農業用の収穫ロボットを開発するinaho(鎌倉市)が優勝した。
ICCは2016年に始まり、今回が7回目の開催。スタートアップの経営者のほか、投資家や大企業の新規事業担当者など約900人の来場を見込んでいる。
inahoは「テクノロジーで農業の未来を変える」(菱木豊代表取締役)として17年に設立された。収穫に適した野菜だけを自動で選んで収穫するロボットを開発している。人口減少や高齢化で担い手が減っている農業の作業効率をロボットで高め、少ない人手で高収益を上げられるようにするのが目標だ。
人工知能(AI)の深層学習を活用して、収穫に適した大きさになったものだけを選別して収穫する。白線の上をロボットが自律走行するほか、野菜の種類をまたいで収穫ができる。
農機メーカーは売り切り型のビジネスモデルが一般的なのに対し、inahoはロボットを無料で農家に提供し、収穫量と市場価格をもとに一定率の手数料をもらう仕組み。菱木氏は「農家の所得が増える未来をめざしたい」と話した。
2位は現役の医師が起業し、医療機関向けに遠隔で集中治療室(ICU)での治療を支援するT-ICU(兵庫県芦屋市)、3位は画像を高精度にしたり色をつけたりするAIを開発する、ラディウス・ファイブ(東京・新宿)が選ばれた。
革新的な技術を開発するスタートアップを対象にした事業モデルコンテストの「リアルテック・カタパルト」では、ハエの幼虫を使って飼料や肥料を作り出す技術を開発するムスカ(福岡市)が優勝した。2位は大気中の微粒子の動きから風の動きを測定する技術を開発するメトロウェザー(京都府宇治市)、3位はガスなどを検知する超小型センサーを開発するボールウェーブ(仙台市)が入った。