政府統計の総点検、夏までに 統計委が初回部会
総務省の統計委員会(西村清彦委員長)は19日、政府統計の実施状況などを確認する「点検検証部会」の初会合を開いた。政府が特に重要と定める56の基幹統計に加え、そのほか233の一般統計もこの部会で点検する。早急な改善が必要と判断した統計は今夏までに、改善内容などを決める計画だ。
厚生労働省による毎月勤労統計の不正調査を受け、政府は統計委に対して政府統計の総点検を要請していた。統計委は1月30日に点検検証部会の新設方針を示し、準備を進めていた。慶応義塾大学の河井啓希教授を部会長として点検していく。
対象の統計が多いため、改善が必要と判断した統計に絞って集中的に点検する方針だ。まずは各府省への書面調査などを通じて重大な問題がある統計をあぶり出す。そのうえで、点検検証部会やその下部会合として新設するワーキンググループで改善点を議論する。
河井部会長は会合後、「6月から7月までに再発予防の(方策などを盛り込んだ)提案書を作成する」との見通しを示した。追加の点検が必要な場合は、第2次や第3次の提案書作成も検討する方針だ。
点検にあたっては、調査集計方法の透明性や各調査段階での責任の所在、必要なデータの保存などを重点的に確認する。調査体制や職員の能力、調査や集計に利用するシステムの機能が十分適合しているかといった点も点検する。改善にあたり予算要求が必要かといった点も重視する。
ただ、現段階ではまだ各府省に依頼する調査票はできておらず、点検対象を絞り込む基準も明確ではない。早ければ6月の提案書作成には各府省や統計委に性急な対応が求められ、点検が雑になる可能性がある。さらに各府省から提出される調査報告の真偽確認手段も乏しく、今回の点検で不正や不適切調査をすべて洗い出せるかは不透明だ。