プログラミング教育官民で トヨタやグーグルなど協力
文部科学省や経済産業省などは18日、小学校のプログラミング教育の普及に向け、トヨタ自動車、グーグルなど17社・団体と連携した授業を行うと発表した。企業などが動画教材を提供するほか、プログラミングが使われている現場などの見学や講師も派遣する。2020年度の小学校でのプログラミング教育の必修化を控え、人工知能(AI)などに強いIT(情報技術)人材の育成につなげる。
小学校での必修化は、論理的思考力を養うと同時に、プログラミングで動くコンピューターが社会を支えていることを学ぶのを目的にしている。今回、文科省などは、ものづくりやサービスを担う企業で実際にどう活用されているか、教えるために協力を求めた。
授業案は15種類。うち米グーグルの日本法人は地域の魅力を発信する動画をプログラミングでつくる授業案を作成。トヨタなど自動車4社などは子供を工場に招き、自動車のセンサーなどにプログラミングが使われていることを教える。
ITコンサルティングのフューチャーはスポーツとデータ分析をテーマにした。同社の金丸恭文会長兼社長は18日の発表記者会見で「将来どのような職業もコンピューター技術の使い手にならないと競争に打ち勝てない」と意義を強調した。
経産省の推計ではIT人材の不足は30年で約59万人に上る。教育に協力することで企業側にとっても、将来のIT人材確保につながるメリットがある。文科省などは今回の事業を呼び水に、各地域で民間が協力する態勢を整えていく。同省は参加校を募集。各学校は9月から動画教材の配信を受けたり企業訪問をしたりして、授業を進める。
今回の事業を機に学校のIT環境の整備も促す。18年3月時点で公立学校のコンピューター1台当たりの児童生徒数は5.6人と遅れている。プログラミング授業を通じて自治体や学校の環境が十分かを点検し、20年度の環境整備の予算措置につなげてもらう。
自治体ではプログラミングの授業は既に実施しているケースもあれば、教育委員会に担当者を置いて研究を始めた段階の自治体もある。全ての小学校の参加を呼びかけ、プログラミング授業を推進する。