大塚家具社長「立て直し途中で代われない」 ヤマダ電機と提携
経営再建を目指す大塚家具の大塚久美子社長は15日、日本経済新聞社などの取材に応じ、「途中で代わることはできない」と続投する意向を示した。同日発表した2018年12月期の単独決算では3期連続の最終赤字となり経営責任を問う声もあるが「会社を立ち直らせて成長まで持っていくことが本質的な責任」と話した。
同日、取引先の企業連合と米投資ファンドから第三者割当増資で約38億円を調達することや家電量販最大手のヤマダ電機との業務提携も発表した。資本増強と提携により国内外で販路拡大や抜本的な財務改善を急ぐ。
18年12月期の単独決算は最終損益が32億円の赤字(前の期は72億円の赤字)だった。都内の旗艦店を中心とした販売不振が響き、保有する株や不動産の売却でも補えていない。大塚社長も「足元は厳しい」と認める。
同社は18年8月、決算短信に事業継続リスクのある企業として投資家に注意を促す「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」を記載した。今回の決算でもリスクは消えていないとして、記載を続ける。
反転攻勢を狙う同社が中心に据えるのは中国市場の開拓だ。業務提携している中国同業の居然之家(イージーホーム、北京市)、越境EC(電子商取引)の運営・支援を手掛けるハイラインズ(東京・渋谷)とともに、中国の消費者を取り込む考えだ。大塚社長は「提携は、大塚家具が海外に出て行くスタートになる」と話した。
国内では、ヤマダ電機と組み、同社店舗への商品提供、ホテルや旅館への家電・家具の納入を検討する。第三者割当増資や新株予約権の発行により調達する資金は、EC強化のための倉庫自動化や物流効率化に充てる。
ただ、提携を含む再建策で経営を立て直せるかは現時点では不透明だ。同社は19年12月期の業績見通しを「未定」としており、大塚社長は黒字化のめどについて「見通しは言えないが、慎重に精査している」と話すにとどめた。
大塚家具は18年6月ごろから資本・業務提携先を模索し、10社以上の候補先と協議をした。合意まで時間がかかったことについて、「単に資金を受け入れるのではなく、海外開拓など大塚家具が成長したい分野でパートナーにまでなることを前提にした」という。
資本業務提携の発表を受け、同日の株価は一時制限値幅の下限(ストップ安水準)となる前日比80円(17%)安の380円を付けた。約1カ月ぶりの安値水準となった。増資による1株あたりの価値の希薄化などを懸念した売りが膨らんだ。終値は72円(16%)安の388円だった。