個人情報、タダでない 「市場価値」が独走止める
データの世紀
世界の商品取引の中心地米シカゴ。穀物や原油などに続いて今、ひそかに焦点が当たるのはデータだ。
「金融商品になるようなデータを探している」。米国金融取引所(AFX)のリチャード・サンダー最高経営責任者(CEO)が明かす。2000年代に温暖化ガス排出量の取引市場を作ったことで知られる「金融先物の父」が、経済の原動力として台頭するデータに着目するのは必然だ。
原油や金と異なり、データの価値は量や重さで...
データ資源は21世紀の「新たな石油」といわれる。企業や国の競争力を高め、世界の経済成長の原動力となる。一方、膨大なデータを独占するIT(情報技術)企業への富と力の集中や、人工知能(AI)のデータ分析が人の行動を支配するリスクなど人類が初めて直面する問題も生んだ。
連載企画「データの世紀」とネット社会を巡る一連の調査報道は、大きな可能性と課題をともにはらむデータエコノミーの最前線を追いかけている。