ルノー、前期は5期ぶり減益 新興国と日産の不振響く
【パリ=白石透冴】フランス自動車大手ルノーが14日発表した2018年1~12月期決算は、純利益が前の期比37%減の33億2百万ユーロ(約4130億円)だった。売上高は2%減の574億1900万ユーロ。新興国販売が振るわず、43%を出資する日産自動車の収益も低迷し日産から受け取る利益が目減りしたことも響いた。減益は5期ぶり、減収は6期ぶりとなった。
中国を含めた複数の新興国で収益が伸び悩び、日産同様に前会長兼最高経営責任者(CEO)のカルロス・ゴーン被告が続けた拡大路線が曲がり角に来ている。売上高営業利益率は0.3ポイント悪化して6.3%だった。
通期の販売台数は17年比3.2%増の388万台と過去最高を記録した。ただ中国・華晨汽車集団と新しく設立した合弁会社が作る小型商用車「金杯」ブランドなどが寄与した約16万5000台を除くと、1.2%の減少だ。中国合弁へのルノーの出資比率は49%にとどまるため売上高としては計上されず、減収となった。
地域別では、主力の欧州市場が1%増の192万台と堅調だったが、中国での不振が目立つ。中国の合弁設立の効果を除くと、中国を含む「アジア太平洋」の販売台数は16%減って16万4000台。中国では東風汽車集団と組み多目的スポーツ車(SUV)などに力を入れているが、米国との貿易戦争に伴う景気減速や、価格競争のあおりを受けた。
政治・経済環境の逆風も大きかった。「アフリカ・中東・インド」の販売は16%減って44万9000台。米国の経済制裁再開に伴うイラン市場からの撤退が響いた。トルコでの景気減速に対応した車種を投入できず、仏誌トリビューンによると同国で35%減となった。
日産の収益も低下し、ルノーが日産から受け取る「持ち分法投資利益」が減った。この利益を中心とした「関連会社から受け取る利益」の項目は45%減の15億4千万ユーロだった。
ルノーは19年の新車市場の見通しについて、英国が欧州連合(EU)と合意なく離脱する事態が起きないことを前提に、「世界も欧州も18年に比べて横ばいになる」と予想した。売上高営業利益率は6%台を目標とした。
ルノーではゴーン被告が1月に会長兼CEOを辞任。ナンバー2だったティエリー・ボロレ氏がCEO、ミシュランCEOのジャンドミニク・スナール氏が会長に就いている。
日産自動車が選択を迫られている。
内田誠新社長のもと、業績をどう立て直すのか、筆頭株主である仏ルノーとの関係をどう再構築するのか。
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