ノーベル賞受賞者らがフォーラム結成 大学の「危機」訴え
ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章・東京大宇宙線研究所長や、化学賞を受賞した白川英樹・筑波大名誉教授ら51人の研究者が政府の大学改革や財政施策の問題を議論するフォーラムを結成した。教育研究費の削減などで大学が「深刻な危機に直面している」として、定期的にシンポジウムを開いて問題意識を広く共有し、見解を出していく。
白川氏は13日に都内で開いた記者会見で「様々な先生から、安易な成果を求められて基礎研究が困難になってきたなどと聞くようになった。高等教育が衰退している懸念がぬぐえない」と危機感をあらわにした。
結成に際して公表した呼びかけ文では、国立大向けの運営費交付金など、大学の運営を支える基盤的な経費の削減によって教育研究の水準の維持が難しいと指摘。資金の配分に短期的な成果を反映させるといった改革手法により、大学が疲弊していると訴えた。
第1回のシンポジウムは3月31日に明治大で開き、梶田氏らが講演する。呼びかけ人の一人である広渡清吾・東大名誉教授は「シンポやホームページなどで意見交換し、社会にメッセージを出していくことで、世論形成を進める」と話した。