生命科学のプリンス、上田(43)の尽きぬ探究心
はみ出せ学界! ハカセが挑む(2)
欧米や中国が激しい競争を繰り広げる科学研究で、かつて隆盛を誇った日本の地盤沈下が著しい。学界に根強く残る組織へのこだわりやしがらみ、そして予算を得るために目先の成果を追う姿勢――。これらの問題は今若手研究者の手足を縛るが、すでに2つの研究で世界のトップになった東京大学教授で「生命科学のプリンス」上田泰己(43)は涼しい顔だ。余裕の裏にあるのはやりたいことを追求し、組織を渡り歩きながら身につけた強...
「末は博士か大臣か」。そう言われたのは今は昔。現実には仕事として研究者になっても資金がなかなか獲得できず、大学などでは若手の雇用も安定しない。組織のしがらみや年功序列といった学者の世界(学界)に残る閉鎖性は、いつしか若い研究者たちの夢も奪うようになった。そんななか、学界の常識からはみ出して道を切り開くハカセたちの姿を全5回で伝える。