中国・復星、ハウステンボスとの出資協議中止
エイチ・アイ・エス(HIS)は12日、子会社のハウステンボス(HTB、長崎県佐世保市)と中国の大手投資会社・復星集団(フォースングループ、上海市)が進めていた出資協議を中止したと発表した。両社とも理由を明らかにしていない。入場者数が伸び悩むHTBは昨年、復星から2割超の出資を受け入れ、中国人の集客増などを通じて事業のテコ入れを検討していた。
当初の計画では、復星集団の出資比率は24.9%、HISが50.1%、残りを九州電力やJR九州など5社が25%を保有し、復星が取締役を派遣する方向だった。
中国当局は2017年に金融機関に対し、復星を含む海外投資に積極的な大手企業への融資を制限するよう通達を出している。今回の出資取りやめも、当局の思惑が働いた可能性もある。
復星は中国を代表する大手企業。HTBは足元の入場者数が伸び悩んでおり、復星との連携はその打開策として位置づけていた。多方面で復星のネットワークを活用するほか、復星傘下のサーカス団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の公演をHTBで行うなど、中国からの送客増につながるとの期待があった。
HTBの沢田秀雄社長も18年12月、復星からの出資受け入れについて「HTBが次の成長を迎えるには、人材不足(の解消)が必要だ」と説明していた。「復星が優秀な人材を送ってくれるし、送客もしてくれる」と前向きだった。
一方、復星は沢田社長の下、経営不振から復活を遂げたHTBの運営ノウハウを吸収したい狙いがあったようだ。中国人消費者の関心が買い物から娯楽へと移るなか、今後の成長が見込めるテーマパークを中国で展開することを視野に入れていた。