日産、今期営業益22%減 拡大路線曲がり角
日産自動車は12日、2019年3月期の連結営業利益が前期比22%減の4500億円になると発表した。従来予想を900億円下回る3期連続の営業減益。カルロス・ゴーン元会長逮捕後、初となる決算では世界販売の失速とともに値引き頼りの拡大路線の限界が浮き彫りになった。
「米国はピークアウトし、中国は踊り場だ」。記者会見した西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は語る。年間販売の5割を占める米中の二大市場が苦戦し、通期の世界販売台数見通しを前期比3%減の560万台に引き下げた。連結売上高は3%減の11兆6000億円を見込む。
特に販売減が深刻なのが屋台骨の米国で、18年10~12月期まで4四半期連続で前年同期比マイナスに沈む。米国が中心の「北米地域」の営業利益は18年4~12月期には、3年前の直近ピークから6割も減った。
販売台数だけでなく、問題なのは1台当たりの利幅の縮小だ。過去にシェアを優先し販売奨励金を積み増し売り上げ拡大を進めた。奨励金は自動車会社から販売店に渡すお金で値引き原資となる。足元の日産の1台当たり販売奨励金はトヨタ自動車を約6割上回り米国平均と比べても1割高い水準に高止まりしている。
同日発表した18年4~12月期の連結営業利益は3136億円と前年同期比14%減少した。この期の費用として、有価証券報告書の虚偽記載の罪で起訴されたゴーン元会長に対する役員報酬の未記載分約92億円を計上。法人としての日産も起訴されており、会計処理で有報の虚偽記載を認めたことになる。西川社長は「非常に大きな不正で申し訳なく、責任を感じる」と陳謝した。