サムスン重工、大宇造船買収意思なし 現代重傘下入り固まる
【ソウル=山田健一】造船世界2位の韓国・サムスン重工業は同3位の韓国・大宇造船海洋を買収する意思がないことが12日分かった。大宇造船株を約56%保有する政府系の韓国産業銀行が同日、サムスン重工から株式を取得しないとの通知を受けたと明らかにした。世界首位の韓国・現代重工業による大宇造船の買収がほぼ固まった。
現代重工が大宇造船を傘下に収めれば、17年の船舶建造量ベースで世界2位のサムスンの2倍に達する巨大造船会社が誕生する。現代重工は3月上旬に取締役会を開き、大宇造船株の取得に関する最終合意を産業銀行と交わしたい考え。
現代重工は1月31日に大宇造船の買収に関して「条件付き」で産業銀行と合意した。同行は条件の意味について、政府系金融として中立を保つ立場からサムスン重工にも買収意思の有無を確かめ、条件の良い方と契約する方針を示していた。
サムスン重工の2018年12月期の連結営業損益は4093億ウォン(約400億円)の赤字。海洋プラント事業での過去の無理な受注が重荷となり、4年連続で赤字となった。同社は同事業の縮小と船舶事業の拡充を柱とする構造改革を進めており、今回は攻めより守りを優先したとみられる。
一方、大宇造船は船舶事業で採算の合わない受注を重ねた過去がある。15年12月期に2兆ウォンを超す営業赤字を計上するなど経営破綻寸前の状況に追い込まれた。15~17年に総額12兆ウォンの金融支援を受けて業績は持ち直しつつあるが、日本政府は金融支援が国際的な貿易ルールに違反するとして問題視している。