三井物産、ブロックチェーン使い健康ポイントサービス
三井物産と同社の完全子会社グルーヴァース(東京・千代田)は、健康の推進を目的とする共通ポイントサービス「ウェルネス貯金(ウェルちょ)」を開始すると2019年2月8日に発表した。グルーヴァースが運営する。
広島市とその周辺地域で2月15日から5月14日まで実証実験に取り組む。課題を洗い出し、人口が多い地域などを中心に段階的に全国展開する予定。3年間で1500万人の利用者を目指す。
ウェルちょでは、「エール」と名付けたポイントを「ウェルネス応援隊」と呼ばれるメーカーが食品などの製品に付与する。利用者はスマートフォン(スマホ)のアプリでためたエールを、ウェルちょに参加する薬局やマッサージ店などの「ウェルネスステーション」で使える。
ウェルちょに対応した製品にはQRコードが記されたシールが付いている。利用者はQRコードをスマホアプリで読み取ってエールをためる。iOS版アプリはリリース済みで、Android(アンドロイド)版は3月中にリリース予定。
ウェルちょを支える基幹系システムは日本IBMが開発した。ポイントのデータをブロックチェーンで管理する。ウェルちょのビジネスに複数企業が参加し、透明性が必要なため、ブロックチェーンを採用したという。オープンソースのブロックチェーン「Hyperledger Fabric(ハイパーレッジャー・ファブリック)」を使い、短期間で開発と検証を繰り返すアジャイル型で開発した。グルーヴァース社長で三井物産の食品営業室に勤める福島大地氏は「開発コストは従来型のシステムよりかかったが、新しい挑戦として(ブロックチェーンを)選択した」と話した。
スマホアプリはフィノバレー(東京・港)が開発した。同社の電子地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy(マネーイージー)」は飛騨信用組合の地域通貨「さるぼぼコイン」などで使われている。将来的には、ウェルちょとMoneyEasyとの連携や、フィノバレーの親会社であるアイリッジが持つスマホ向け位置連動型O2O(オンラインからオフライン)ソリューション「popinfo(ポップインフォ)」をウェルちょで利用することなども視野に入れる。
(日経 xTECH/日経NETWORK 大森敏行)
[日経 xTECH 2019年2月8日掲載]