前最高裁長官を起訴 韓国検察
【ソウル=鈴木壮太郎】韓国大法院(最高裁)が朴槿恵(パク・クネ)前政権と結託し、元徴用工訴訟の上告審での確定判決を下すのを遅らせたとされる事件で、ソウル中央地検は11日、前最高裁長官の梁承泰(ヤン・スンテ)容疑者を職権乱用などの罪で起訴した。最高裁長官経験者が起訴されるのは初めて。
元徴用工をめぐる訴訟は梁被告が退任後の2018年10月、最高裁が新日鉄住金に賠償を命じる確定判決を下した。検察は梁被告が日韓関係の悪化を避けたい朴前大統領の意向を受けて確定判決を先送りしたとして、1月24日に逮捕していた。
元徴用工問題をめぐる最高裁の判決は1965年の日韓請求権協定で問題は解決済みであるとする日韓両政府の立場を覆した。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は新年の記者会見で、この問題に関する韓国政府の対応発表が遅れていることについて梁容疑者の捜査の進展と関係があるとの考えを示唆していた。
梁被告の起訴で韓国政府が問題解決に向けて動くかが焦点だが、韓国大統領府は1月、解決策として浮上していた日韓両国政府・企業による財団設置構想を否定した。解決策は見えていない。
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