米中貿易協議、次官級で 構造問題を詰め
履行検証も焦点に
【北京=原田逸策】米中両政府は北京市内で次官級の貿易協議を始めた。中国の構造問題を中心に意見を交わす。合意事項を中国側がきちんと履行したかを検証する枠組みをどうつくるかも焦点になる。14、15日に開く閣僚級協議に向け、両者の隔たりをどこまで縮められるか注目される。
米中協議は1月30、31日に閣僚級でワシントンで開いて以来となる。
協議は11日に始まり、3日間を予定する。米側は通商代表部(USTR)のゲリッシュ次席代表のほか財務省、商務省、農務省、エネルギー省らの高官が参加した。
次官級協議にかかわらず、協議の中国側責任者である劉鶴副首相は11日に会場の中国商務省を訪れた。会場には中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁らの姿もあった。
焦点は中国の構造問題だ。米商工会議所幹部によると、ワシントンでの前回協議では知的財産保護では進展があったものの、技術移転の強要や国有企業への補助金の問題では中国側から新たな提案がなかった。トランプ米大統領は5日の一般教書演説で「(中国は)貿易赤字を減らす構造改革が必要」と訴えた。
合意事項の履行検証もポイントになる。米国側には「中国は約束を守らない」という不信感があり、履行状況を定期的に検証する枠組みをつくる必要があるとみる。中国は追加関税などの罰則に慎重とされ、両者の溝は埋まっていない。
米中協議はトランプ氏と習近平(シー・ジンピン)国家主席の首脳会談で最終決着する。協議期限の3月1日をにらみ、中国側は2月中にも首脳会談を開きたいが、トランプ氏は7日に「(2月中に会う予定は)ない」と語った。両者の主張の隔たりが依然大きいためだ。今回、3日間も次官級協議を開くのも詰めるべき論点が多いからだ。
期限内に協議がまとまらなければ米国側は約2千億ドル(約22兆円)の中国製品にかける追加関税をいまの10%から25%に引き上げる構え。米政府内では協議期限を延ばして構造問題に集中的に取り組む案も浮上しているという。