米モルガン、株式報酬管理会社を買収 990億円で
【ニューヨーク=宮本岳則】米金融大手モルガン・スタンレーは11日、企業向けに株式報酬プランの管理サービスを手がけるカナダのソリアム・キャピタルを買収すると発表した。買収総額は9億ドル(約990億円)。ソリアムは新興企業向けサービスに強く、大企業中心のモルガンは顧客層の拡大と資産運用ビジネスとの相乗効果が見込めると判断した。
カナダのソリアムは3000社を顧客に持つ。食料品配達の米インスタカート、電子商取引(EC)サイト構築のショッピファイなど急成長する新興企業が中心で、ソリアムのサービスを利用する従業員は100万人に達する。米モルガンは同様のサービスで320社を顧客に持つが、大企業が中心だった。モルガンのジェームス・ゴーマン最高経営責任者(CEO)は今回の買収について「より若い世代と直接関係を構築する良い機会となる」と述べた。
米モルガンは富裕層向けサービスや資産運用事業に力を入れ、収益構造の安定を目指してきた。強みであるM&A(合併・買収)助言やトレーディング事業は景気や市況に左右されやすい。一方、富裕層向け事業は預かり資産に応じて安定した手数料収入が見込める。2018年12月末の顧客預かり・管理資産は4630億ドル(約50兆円)。ソリアム買収で獲得した顧客層に自社の資産運用・管理サービスを提供できれば、収益機会の拡大につながる。