英、6年ぶり低成長 18年GDP1.4%増に減速
【ロンドン=篠崎健太】英国経済の鈍化が鮮明になっている。英政府統計局が11日発表した2018年の実質国内総生産(GDP)速報値は前年比1.4%増と、12年以来6年ぶりの低成長だった。伸び率は前年より0.4ポイント縮んだ。19年3月末に予定される欧州連合(EU)離脱後の姿を見通せないなか、企業投資が落ち込んだ。輸出や個人消費も減速した。
支出面の内訳をみると企業投資の不調が目立った。0.9%減と2年ぶりにマイナスで、リーマン・ショック後の09年以来の減少率を記録した。輸出は0.2%増と、世界経済に減速感が広がるなかで17年の5.6%増から急減速した。全体の6割強を占める個人消費は1.9%増えた。賃金の増勢を背景に底堅かったが、伸び率は0.3ポイント縮んだ。
企業投資を冷やしているのが英国のEU離脱だ。英自動車工業会(SMMT)によると、18年の英自動車産業の投資額は前年比5割近く減った。米中貿易摩擦の懸念に覆われる外需の陰りも重荷になっている。
英経済は19年も減速が続くとの見方が出ている。中央銀行イングランド銀行は前週、19年の実質成長率が1.2%になるとの予測を示し、3カ月前時点から0.5ポイント引き下げた。英エンジニアリング事業者連盟(EEF)のチーフエコノミスト、シェームス・ネビン氏は「EU離脱の不安が高まるなかで投資が減り、企業が直面する困難は増している」と指摘する。
四半期ベースでも減速感が強まった。18年10~12月期の実質GDPは前期比0.2%増と、7~9月期(0.6%増)から急減速した。調査会社リフィニティブがまとめた市場予想(0.2%増)と同じだった。企業投資は前期比1.4%減と4四半期続けてマイナスだった。