韓国前最高裁長官を起訴 徴用工訴訟で「職権乱用」
ソウル中央地検
【ソウル=共同】韓国最高裁が朴槿恵前政権と癒着し、二審で日本企業に賠償を命じた元徴用工訴訟の上告審で確定判決言い渡しを遅らせたり、二審破棄を促したりしたとされる事件で、ソウル中央地検は11日、職権乱用の罪などで前最高裁長官、梁承泰容疑者(71)を起訴した。韓国で最高裁長官経験者の起訴は初。
梁被告は「(判決が確定すれば)日本が反発するだろう」と担当裁判部に破棄を求めたと報じられている。日韓関係悪化を懸念した朴前政権の意向が反映されたとみられている。元徴用工訴訟は結局、文在寅政権になってから最高裁で日本企業への賠償命令が確定。日本の反発を招いている。
文大統領は1月10日の記者会見で、元徴用工訴訟への対応は、この事件の捜査状況を見守って判断する必要があると発言。梁被告の起訴で捜査が「一段落」(聯合ニュース)した格好で、文政権が対応検討を加速させるかどうかが注目される。
文氏は会見で三権分立を挙げ「司法府の判決に政府が関与することはできない。司法判断を尊重しなければならない」と強調。また大統領府の金宜謙報道官は1月、解決策の一案として挙げられていた韓国政府や日韓の企業による基金設置構想について「発想自体が非常識だ」と否定的な考えを示しており、打開の見通しが立たない状況だ。