ソニー、自社株買い1000億円 株主還元で初
ソニーは8日、1000億円を上限とする自社株買いを実施すると発表した。株主還元を目的とした自社株買いは初めて。エレクトロニクスやゲームなどの事業が好調で、稼ぐ力が高まり、財務も改善している。2018年末から株価が低迷していることもあり、株主還元を強化する。
取得する株数の上限は3000万株で自己株式を除く発行済み株式数の2.36%に相当する。自社株の取得期間は2月12日から3月22日。
8日の東京株式市場でソニーの株価は一時、前日比7%高まで上昇。終値は193円(4%)高の4906円だった。「決算から間もないタイミングでの自社株買いは経営陣が株価を『割安』だと感じているメッセージ」(岡三証券の小川佳紀氏)との声が聞かれた。
1日に発表した2018年4~12月期連結決算(米国会計基準)は本業のもうけを示す営業利益が前年同期比14%増の8115億円と同期間として最高を更新した。カメラやテレビといったエレクトロニクス部門の収益が堅調に推移していることに加え、ゲーム部門でもネットワークを通じた課金収入が安定した収益を生んでいる。
19年3月期は営業利益見通しは据え置いたが、スマートフォン(スマホ)に使う画像センサーの落ち込みで売上高を2000億円引き下げた。半導体の減速懸念から4日の株価が一時9%安と急落、その後17年11月以来の安値を付けていた。
自社株買いの原資となる現金を生み出す力も向上している。4~12月の営業キャッシュフロー(金融を除く)は60%増の6050億円に達した。18年12月末時点の現預金残高(金融を除く)は1兆108億円と、有利子負債(同、5659億円)を大きく上回る。
自社株買いは2004年2月以来15年ぶり。前回は旧ソニー・コンピュータエンタテインメントの株主に自社株を交付するためと、単元未満の株式を保有する株主からの買い増し請求に応じたものだった。