独、フェイスブックのデータ収集制限 個人情報を保護
【フランクフルト=深尾幸生】ドイツの連邦カルテル庁は7日、米フェイスブックに対し、利用者のデータ収集を大幅に制限するよう命じた。利用者の同意なしで、傘下や外部のサービスにある利用者のデータを統合することなどを禁じる。独当局はフェイスブックが独占的地位を乱用していることに加え、データ保護の原則にも反していると判断した。決定の確定後、フェイスブックが違反した場合、世界売上高の最大1割の罰金を科す可能性がある。
今回の判断は最終決定ではなく、1カ月以内に裁判所に不服を申し立てることができる。フェイスブックは同日、不服を申し立てる意向を示した。
フェイスブックは傘下の写真共有アプリ「インスタグラム」や対話アプリ「ワッツアップ」のほか、フェイスブックの「いいね」ボタンを搭載する外部サービスから利用者のデータを収集。膨大な個人情報を統合して精度の高い利用者のデータベースをつくっている。連邦カルテル庁はこうしたデータを同社の広告事業に使っていることが、公正な競争を阻害していると判断した。
傘下のサービスとのデータ統合については、利用者の同意がない状態ではデータは各サービス内にとどめるべきだとした。外部のサービスからはデータ収集そのものに利用者の自発的な同意が必要とした。
連邦カルテル庁のアンドレアス・ムント長官は声明で「独占企業としてフェイスブックは競争法上の特別の義務を負う。利用条件のチェックボックスにチェックを入れるだけでは、利用者の自発的な同意とはいえない」と強調した。
これに対し、フェイスブックは「人気があることは独占を意味しない。当局はドイツでフェイスブックが直面する激しい競争を過小評価している」と反論した。
連邦カルテル庁によるとドイツでは約3200万人が月に1回以上フェイスブックを利用し、約2300万人が毎日使っている。国内のSNS市場で95%以上(日次ベース)の圧倒的なシェアを握っており、消費者に不利な条件で個人情報利用の同意を強要していないか、3年前から調査を進めていた。