福島県19年度予算案、0.9%増 農林水産・観光振興に力
福島県は5日、2019年度予算案を発表した。一般会計は1兆4603億円と18年度当初予算を0.9%上回った。このうち東日本大震災からの「復興・創生分」は復旧・復興が進んだことで6001億円と3年連続で減少した。震災と東京電力福島第1原子力発電所事故から8年となり、農林水産業など福島の地域資源を活用する復興策や観光振興を強化する。
内堀雅雄知事は同日の記者会見で「これまでの取り組みを前進させ、県民に復興と創生が進んでいることを実感してもらわなければならない。19年度の予算を『復興・創生進化予算』と呼びたい」などと述べた。
予算規模は公共事業に加え、18年に国内で頻発した大規模自然災害の教訓を踏まえ、防災力の強化などで前年度比131億円の増額となった。復興・創生分は基金の積み立てや除去土壌運搬事業などで減少し、同177億円の減額となった。
予算の構成は「これまでの挑戦を進化させ、復興の加速と、福島ならではの地方創生」を基本理念とし、福島の産業の柱である農林水産業の再生を観光振興に結びつけ、いかに「福島ファン」を生み出すかなどに重点を置いている。
予算の内訳で見ると、「復興」の計画では農林水産業再生プロジェクトとして「林・農」連携モデル創出事業(9千万円)、県産材競争力強化支援事業(2千万円)を新規に創設。同プロジェクト関連事業で731億円を計上した。
これとリンクする形で風評・風化対策プロジェクトの主軸に観光振興を設定。福島の食によるインバウンド(訪日外国人)誘客促進事業(5千万円)、インバウンドを通じた県産品の販促事業(2千万円)などを新規に打ち立てている。
福島の地域資源をインバウンドのほか国内の若い世代などにもアピールすることで地域活性化につなげる。「地方創生」の計画では、移住支援金給付事業(7千万円)、若者人材確保事業(1億円)など、福島ファンを増やすことで、人口減や過疎の流れを少しでも食い止めたい考えだ。
歳入は県税が18年度比2.7%減の2278億円。