日産、4月に臨時総会開催へ ルノー会長を取締役に
日産自動車は5日、4月8日に臨時株主総会を開催すると発表した。5日の臨時取締役会で決めた。総会では、取締役として残る元会長のカルロス・ゴーン、元代表取締役のグレッグ・ケリー両被告を解任し、仏ルノーのジャンドミニク・スナール新会長を取締役に選任する議案をはかる。日仏連合の対話の動きが本格化し、今後は日産の後任会長などの懸案でどこまで歩み寄れるかが焦点となる。
2018年11月のゴーン被告の逮捕後、ルノーは日産に臨時株主総会の開催やガバナンス(企業統治)改革への関与を求め、両社の関係がぎくしゃくしていた。ルノー側が1月下旬にゴーン被告の退任と新体制への移行を決めたのを受け、日産がルノーに歩み寄った。
日産の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は5日夜、「4月から(スナール氏に日産の)取締役に加わっていただき、次のステップをスナール氏も入れて議論できる」と述べ、ルノーとの交渉が円滑に進むとの期待を示した。
西川社長とルノーのスナール会長は1月31日からオランダで開かれた日仏連合の定期会合にあわせ個別に会談していた。連合の維持など基本的な課題では認識を共有している。
日産の臨時株主総会の議案はゴーン被告らの解任とスナール新会長の取締役選任に絞る。今後は日産が6月に開く予定の定時株主総会へ向けた協議が本格化する。空席となっている日産の会長人事や、取締役会の構成などが焦点となる。
日産側は18年12月に第三者を交えた「ガバナンス改善特別委員会」を設置した。3月末までに同委員会がまとめる人事などについての提言をふまえ、ガバナンス改革を進める方針だ。
一方、ルノーや同社筆頭株主の仏政府は日産会長の指名をたびたび求め、経営への関与を維持したい意向を持つ。新たに日産との交渉役となるスナール新会長を通じ、圧力を強める可能性があり、どこまで協力姿勢を示すかは未知数だ。
日産・ルノー間の資本関係の見直しや、日仏連合のトップ人事など棚上げされてきた懸案が表面化する恐れもある。仏政府は1月、日本政府関係者に日産とルノーを経営統合させたい意向を伝えた。1月に開いた会見で西川社長は「今は(統合などの)形態を議論する時ではない」と仏政府側の動きをけん制している。
日産自動車が選択を迫られている。
内田誠新社長のもと、業績をどう立て直すのか、筆頭株主である仏ルノーとの関係をどう再構築するのか。
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