新垣比菜「女子ツアー優勝、複数回狙う」
1998~99年生まれで、女子ツアー人気をけん引する「黄金世代」。2017年夏のプロテストに一発合格した新垣比菜(20)は、昨年4月のサイバーエージェント(静岡・グランフィールズCC)を制し、同期でツアー初優勝一番乗りを果たした。20年東京五輪出場を目指し、一段の飛躍を期す才能豊かなプロ3年生に聞いた。
――昨季は優勝を含めトップ10入りが6回、賞金ランク23位(4591万円)だった。
「優勝できたし、優勝争いを何回もできたのはよかった。でもマンシングウェア東海C(9月、1打差の2位)では、最終日もすごい調子がよかったのに、16番あたりから緊張して思うように体が動かず、スコアを伸ばせなかった。あまり顔には出ないみたいだけれど、私はけっこう緊張しい。スタンレー女子(10月、同)は8番(パー5)のダボが痛かった。最後の18番(同)でもチャンスにつけられずバーディーが取れなかった。勝ちたいと思って勝てなかったのはすごく悔しい。まだまだだなと。今年はもっと強くなりたい」
「『フェアウエーキープ率(61.42%、ランク63位)がよくないね」とよく言われる。そのせいでパーオン率(67.18%、42位)も低いなと。『得意クラブはドライバー』とずっと言っていたけれど、フェアウエーにいかないし、今はパター(平均パット数1.77、5位)かな。自分が足りないところがわかったうえで練習に取り組み、レベルアップしたい。課題はたくさんある。昨年は10月から11月にかけて体力的にきつかった。疲れてくると飛距離も落ちるし、ショットの精度もよくない。モチベーションも下がり、『今週も無理だ』と思ったり。1年を通して調子をいい状態で維持するのは大変だと実感した。何とか乗り越えたけれど、今年は調子の波をなくして、最後まで上位で戦いたい。ドライバーは80%の力でも、これまで百パーセントで振ったくらいの飛距離を出し、真っすぐ飛ばしたい」
■将来は米ツアーに、東京五輪も意識
――1月13日の沖縄県うるま市の成人式では「世界で活躍できる選手になりたい」と壇上であいさつした。同じ黄金世代の畑岡奈紗選手は昨年、米ツアーで2勝したが、米ツアー挑戦は?
「今はまだ遠い感じがする。でも、ちっちゃいころから藍ちゃん(宮里藍)が好きでゴルフをやってきた。藍ちゃんみたいに米ツアーを回りたいと思う。できれば早くいってみたい。東京五輪も、ゴルフが五輪競技に決まったときから意識している。たくさん優勝して、超頑張ったらいけるかな。(日本代表が決定する20年6月まで)1年半、みっちりやって世界ランク(日本勢で12番手の105位=1月末現在)を上げていきたい」
「黄金世代の活躍は刺激になるし、ライバル意識はある。試合で、スコアボードに(小祝さくら、勝みなみら)同い年の子の名前があると『自分も頑張ろう』と。アマチュアのときから(黄金世代は)強いといわれていたけれど、プロの世界に入ってもこれだけ通用するんだな、と思う」
――シーズンオフはどんなトレーニング、練習を?
「12月下旬に沖縄でトレーニングをスタートした。トレーナーさんについて、がっちりやっている。体幹を中心に強度は強めで毎日。(トレの内容は)昨年よりレベルアップした。(名護市の)エナジックゴルフアカデミーや琉球GCで球打ちやラウンド、アプローチ、パターの練習も。しっかり1年間持つ体力のある体になりたいけれど、太りたくはないです(笑い)」
――今シーズン、あるいは今後の目標は。
「今年は試合数をもう少し増やす予定で、2勝以上、複数回優勝して賞金ランク5位以内に。賞金女王にもなってみたいし、(国内メジャーの)日本女子オープン、日本女子プロ選手権を勝てる選手になりたい。メジャーは4日間の試合だし、本当に上手な人しか勝てないと思う。3日間なら昨年の私みたいにパーンと(優勝が)たまにあると思うけれど、ショット、パット、精神面、体力面がそろっていないと勝てない。メジャーで勝てるように全部を成長させていきたい。(賞金女王の)アン・ソンジュさんや、(メジャー年間3勝の)申ジエさんはいつもアンダーで回り安定している。最終日には必ずスコアを上げて上位に入るし。私もあんな選手になりたい」
「アマチュア時代はただ必死に頑張ろうと思ってやっていた。プロになって、考え方やコースマネジメント、技術、体力は成長しているという実感はある。(イ・ボミの専属キャディーを務めていた)清水(重憲)さんに何度かついてもらって、いろいろ聞き『ゴルフはこうやってやるんだ』と勉強になった。これまではただ飛ばして、グリーンに乗せたいと思っていたけれど、先々のことまで考えて打たないといけない。パー5のセカンドは必ず3番ウッドだったけれど、状況に応じてほかのクラブも握るように。今季の前半戦は清水さんにお願いしようかなと思っている」
■沖縄の開幕戦、優勝したい
――昨年、初めてツアーにフル参戦し転戦にも慣れたかと思うが、リラックス法は?
「プロアマ戦にも慣れた。ただアマチュアの人にアドバイスするのはちょっと苦手。自分の感覚でゴルフをやっていることが多くて、言葉で伝えるのは難しい。ツアーには慣れたけれど『沖縄の家に帰りたいなあ』と思うこともある。家にいると気持ちもリフレッシュできる。東京に家を持っている人には『すごく楽だよ』と聞くけれど、今のところは沖縄を離れるつもりはない。仲のいい友達に会うと気兼ねなく何でも話せるし。東京に行ったときも、同じ興南高(沖縄)出身の友達と会うことがある。オフは東京ディズニーランドへ行った」
――昨年4月にダイキン工業と所属契約した。11年に12歳でツアー初出場、13年から5年連続ベストアマに輝いた地元開催の開幕戦、ダイキンオーキッド(3月7~10日、琉球GC)への意気込みは。
「よりいっそう気合が入る。優勝したい試合の一つだし、今年優勝できたら。今月の米ツアー、ISPSハンダ女子(2月14~17日、オーストラリア)、ホンダLPGA(21~24日、タイ)に出てから開幕戦へ。琉球GCはオフに回ってみてグリーン周りのラフが昨年よりきつい。フェアウエーをキープしてグリーンに乗せパー、バーディーをしっかり取れれば、いいところにいくかな」
(聞き手は吉良幸雄)