米朝実務者、詰めの協議へ 米特別代表が訪韓
【ソウル=鈴木壮太郎】北朝鮮の非核化に向けた実務者交渉を担当する米国のビーガン特別代表は3日午後、韓国を訪問した。ソウル近郊の空港に到着後、報道陣に囲まれたが、質問には答えなかった。同氏は韓国側と協議した後に北朝鮮側と、トランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長の再会談に向けた詰めの協議に入る見通しだ。米朝が非核化を巡る溝をどこまで埋められるかが焦点になる。
ビーガン氏は3日、北朝鮮核問題を巡る6カ国協議の韓国首席代表の李度勲(イ・ドフン)外務省朝鮮半島平和交渉本部長と会談した。韓国メディアによると、4日には韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長と会う予定だ。米韓の方針を確認した後、5日にも北朝鮮との実務者協議に入る可能性がある。
米朝の実務者協議の開催場所として南北の軍事境界線のある板門店が有力だと韓国メディアは報じている。
米朝は1月18日、2月末ごろに2回目の首脳会談を開くことで合意した。日時や場所は明かさなかったが、米CNNテレビは1日、関係筋の話として米朝がベトナム中部のダナンでの開催で最終調整に入ったと報じた。
ビーガン氏は合意の直後、スウェーデンの首都ストックホルム郊外で崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官と会った。北朝鮮にとって可能な非核化の具体策と、米国に対して北朝鮮が求める「相応の措置」を巡り協議した。
今回はこれに続く実務者協議だが、北朝鮮側は崔善姫氏ではなく金革哲(キム・ヒョクチョル)元駐スペイン大使が交渉相手になるとの見方が浮上している。
北朝鮮の非核化を巡っては、完全な非核化まで北朝鮮への経済制裁を継続する方針を崩さない米国と、「段階的かつ同時行動」の原則論に固執し、米国に非核化の見返りを求める北朝鮮との間の溝が埋まっていない。
ビーガン氏は1月31日の講演で、非核化に際して核・ミサイルの完全な申告が必要との米国の立場を改めて表明した。一方、北朝鮮が求める「相応の措置」について次回の実務者協議で話し合う用意があるとも語り、硬軟両様の姿勢を見せた。