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かわいいだけじゃない 大坂なおみの不思議な魅力

スポーツコメンテーター フローラン・ダバディ

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テニスの全豪オープンで四大大会連覇を果たした大坂なおみ(日清食品)はコートの内外を問わず、意表を突くのが大好きだ。眠たげなワニといっては言いすぎだが、目を細めて周囲の様子をうかがっている彼女は抜け目がなく、生き抜く知恵を持っている。創造力豊かな現代っ子でもある。日本のメディアやファンが大坂を「かわいい」とばかり形容するのは、たどたどしい日本語での発言が中心に取り上げられるからだ。

本人も「普段は1日に10フレーズ話すかどうか」と言うように、インタビューや記者会見での大坂はおとなしく、内気な印象を与える。しかし彼女には知的で面白い一面もある。求められれば、コートでの心理状態を哲学的な表現で語ることもできる。

「赤ちゃんの顔した殺し屋」?

全豪オープン女子シングルス決勝、勝利寸前までいった第2セットを落とした後、見事に立て直した最終セットについてはこう語っている。「空っぽになってプレーしていました。粛々と命令をこなすことを義務付けられたロボットのようでした」。大舞台での心理状態を客観的に振り返り、SFのような比喩で的確かつ詩的に表現している。男子シングルスを制したノバク・ジョコビッチ(セルビア)はサイボーグのような正確なプレーをすることで知られるが、決勝の大坂も"アンドロイド"のようだった。

トレーニングコーチのアブドゥル・シラーさんは最近のツイッターへの投稿で大坂のことを「赤ちゃんの顔をした殺し屋」と呼んでいる。これはちょっと言いすぎだが、彼女が伊達公子さんのインタビューに対し、好きな動物を「シャチ」と答えたのは示唆に富んでいた。水族館やテーマパークのショーで子どもに人気のシャチは、コート上の大坂がときに無慈悲な勝負師となるように、大海ではどう猛な姿を見せる。無邪気な見かけの下に、人を食ったようないたずら心を忍ばせた彼女の答えは「なおみ節」の真骨頂だった。

彼女の名誉になることなのに、日本のテニス界ではほとんど話題に上らない大坂のルーツについても触れておきたい。大坂は多様性や混在性が増している新しい日本を象徴している。父親が生まれたハイチは世界で6番目に貧しい国だ。人口の9割以上はアフリカから連れてこられた奴隷を祖先に持ち、15歳以下が国民の3分の1を占める。ハイチの歴史には奴隷制、それに続く市民戦争、20世紀後半の凄惨な独裁政治など血なまぐささが刻まれている。大坂の父親の家族のように米国に亡命した人たちも少なくない。

一方、大坂の母親は型破りな性格が日本では受け入れられず、海外に飛び出した女性だ。こうした両親からは、反骨心をエネルギーとする子どもが育つことも珍しくない。大坂が憧れたセリーナ・ウィリアムズ(米国)もこのタイプで、米ロサンゼルス郊外で育った豊かとはいえないバックグラウンドからのし上がった。

平和主義者・野心家・スター…

ところが大坂は違う。彼女は筋金入りの平和主義者であり、笑顔を絶やさない野心家であり、愉快で謙虚なスターでもある。セリーナは見る者を石に変えてしまうギリシャ神話のメドゥーサのような鋭い眼光でプレーをするが、大坂はそうではないどころか、日本人らしい相手への敬意さえ感じさせる。この魅力的な資質は温厚な父親や寛大な母親から譲り受けたものなのだろうか。あるいはテニスという情熱を注げる対象と出合えた幸せからくるものなのかもしれない。

大坂は今後、どのような道を歩むのだろうか。2020年東京五輪が終わったら米国籍を選ぶという噂も聞くが、僕はそうは考えない。テニスへの情熱は父親譲りでも、その心は母親寄りのようにみえるからだ。将来は音楽や前衛芸術の分野で活躍してきたオノ・ヨーコさんのようになるのではないだろうか。彼女も日本人のまま、ニューヨークで米国人のように暮らしている。

メルボルンでの大坂は建物の壁などに描かれたストリートアートを見にいって楽しんでいた。どうやら芸術愛好家の素養もあるようだ。今後も活躍を続ければ、ストリートアートの大家バンクシーの作品に大枚をはたくこともできるだろう。衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZO(ゾゾ)の前沢友作社長も絵画の収集家として知られる。遠くない将来、ムッシュー前沢と大坂がバスキアの名作を競り合う日がくるかもしれない。

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