朝日新聞、写真集から盗用 北海道版で記事取り消し
朝日新聞社は31日、今年1月に北海道版朝刊地域面に掲載した連載記事について、北海道新聞社が2016年に出版した写真集から引き写した部分が多数あり「事実上の盗用」と判断、連載を中止し、記事を取り消したと発表した。
連載記事は「ひと模様 大道芸人 ギリヤーク尼ケ崎さん」。1月12日と19日に掲載された。朝日新聞社は31日までに、北海道新聞社とギリヤーク尼ケ崎さん(88)に謝罪した。執筆したのは函館支局の男性記者(42)で、関係者を処分する方針。
朝日新聞社によると、写真集は「ギリヤーク尼ケ崎 『鬼の踊り』から『祈りの踊り』へ」で、03年の北海道新聞夕刊に掲載された連載の記述をほぼ再掲載したもの。
記者は図書館で写真集を借り、ギリヤークさんへの取材を経て、写真集の記述を基に執筆した。12日の記事の約4割、19日の記事の約8割に重なる表現が確認された。
北海道新聞社から「記述が似た表現が複数ある」と指摘があり、調査した。
中村史郎・朝日新聞社東京本社編集局長のコメント 刊行物からの引き写しは記者倫理に反する行為であり、絶対に許されない。読者の信頼を裏切ったこと、北海道新聞社やギリヤークさん、関係者の皆さまにご迷惑をお掛けしたことを深くおわびする。社内調査を尽くし、再発防止に努める。〔共同〕