北電、4~12月の純利益3.4倍 水力発電が寄与
北海道電力が31日発表した2018年4~12月期の連結決算は、純利益が前年同期比3.4倍の121億円だった。18年9月に道内で発生した地震が106億円の減益要因になったが、夏にかけて雨が多かったため発電コストの安い水力発電所の稼働率が高まり、燃料費140億円を削減できたのが寄与した。定期検査に入る火力発電所が少なく、検査費用も抑制できた。
売上高は2%増の5307億円。燃料価格の変動を電気料金に反映する制度によって料金が上がり、販売量の減少分を補った。ただ、18年12月末時点の連結自己資本比率は11%と、大手電力会社の中で低水準にとどまっている。
販売電力量は9%減の158億キロワット時だった。泊原子力発電所(泊村)の再稼働の見通しは立たず、料金の安い新電力への顧客流出はなお続く。経済産業省の報告(電力取引報)によると、18年10月の道内の新電力シェア(販売電力量ベース)は24.7%と国内平均(14.3%)を大きく上回り、全国10地域で最も高かった。
項目別では大工場向けの「特別高圧」が14.8%(全国6.4%)、工場やオフィス向けの「高圧」が38.3%(同22.7%)と、ともに新電力シェアが全国で最も大きかった。北電にとって大口顧客を取り戻すことが大きな課題になっている。
北電は泊原発再稼働のめどが立たず、抜本的な値下げには踏み切れない。エネルギー管理を一括受託するエネルギー・サービス・プロバイダー(ESP)事業など付加価値の高いサービスが顧客に受け入れられるかどうかが収益改善のカギを握る。
北電は同日、19年3月期通期の連結業績予想も発表した。純利益は前期比9%増の180億円、売上高は3%増の7540億円とした。期末配当は10円と前期から5円増配する。真弓明彦社長は「増配は重要な資金調達のためのコストと考えている。(電力の)安定供給に向けた取り組みをきちんと実施していく中での配当と理解いただきたい」と話した。