世界スマホ出荷、2年連続で減少 IDC調べ
スマートフォン(スマホ)市場の縮小が続いている。米調査会社IDCが30日まとめた出荷統計で、2018年の世界出荷台数は14億490万台と前年を4.1%下回った。前年割れは2年連続で、落ち込み幅も拡大した。全体の3割を占める最大市場の中国市場が、買い替え周期の長期化で10%以上縮小したことなどが響いた。
世界シェアは3位の中国・華為技術(ファーウェイ)が米アップルに肉薄した。17年を33.6%上回る2億600万台を出荷し、同3.2%減の2億880万台にとどまったアップルを射程圏内にとらえた。インターネット販売が中心の「honor(オナー)」シリーズなどが好調で、中国以外の海外市場の開拓が奏功した。
韓国サムスン電子は世界シェア首位を維持したが、中国勢に押され17年比8%減の2億9230万台にとどまった。特に中国市場でのシェアは1%未満とみられる。中国勢と同じ基本ソフト(OS)の「アンドロイド」を使っているため切り替えが容易で影響を受けやすくなっている。
低価格機種に強みを持つ4位の中国・小米(シャオミ)は32.2%増の1億2260万台。以前から高いシェアを持つインド市場に加えスペインなど西欧市場の開拓が進んだ。5位でカメラ機能の強化が特徴の中国OPPO(オッポ)も出荷を伸ばした。
IDCが同日まとめた18年10~12月期の出荷統計によると、最新スマホ「iPhoneXS」「同XR」の販売が不振とされるアップルの出荷は前年同期比11.5%減の6840万台にとどまった。アップルは10~12月に旧機種を含むiPhone全体の売上高が520億ドル(約5兆6500億円)と、前年同期比15%減少したと発表している。
一方、ファーウェイは同社製の通信機器を政府調達から排除する動きが広がるなどの逆風にさらされたが、同43.9%増の6050万台を出荷した。
中国勢のシェア増加は日本の部品メーカーに影響を与える。「成長するスマホメーカーの見極めが重要になっている」(部品メーカーの担当者)。ディスプレーなどでは技術力向上を背景に、中国スマホメーカーが自国メーカーの部品を調達する割合が高まる傾向にある。車載や産業機器といったスマホ以外の市場開拓も求められそうだ。
(龍元秀明)
関連企業・業界