18年世界販売、独VW3年連続首位 日産連合2位、トヨタ3位
自動車大手の2018年の世界販売台数が30日、出そろった。独フォルクスワーゲン(VW)が3年連続で首位となった。ロシアなど新興国での販売が好調で過去最高を更新した。ルノー・日産自動車・三菱自動車の3社連合が2年連続の2位、トヨタ自動車が3位だった。いずれも1000万台超を販売した。今後に向けCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる次世代技術への対応で投資がかさんでおり、どう稼ぐかも課題となっている。
各社の発表をまとめた。VWの18年の世界販売台数は17年比0.9%増の1083万4千台で過去最高を更新した。力を注ぐ中国は0.5%増の420万台だった。米中貿易摩擦の影響などで市場が冷え込む中、かろうじて17年を上回った。欧州は1.2%増だった。西欧は伸び悩んだが、ロシアを含む中東欧が7.1%増と堅調だった。南米はブラジル市場の回復で13.1%増となった。
日産3社連合は同1.4%増の1075万6千台となり、2年連続で1000万台を超えた。日産はセダンから多目的スポーツ車(SUV)へ需要がシフトした米国でセダンが苦戦し、前年を下回るなど世界販売は2.8%減の565万台だった。一方、ルノーは3.2%増の388万台だった。三菱自が強みとする東南アジアの需要を取り込み、18.3%増の121万台と全体に貢献した。
トヨタは2%増の1059万4千台だった。3年連続で前年を上回り、過去最高を更新した。トヨタ単体の地域別の世界販売では、乗用車が苦戦した米国のほか、国内、中近東が前年を下回った。ハイブリッド(HV)が堅調だった欧州ほか、アフリカ、中国などでは前年を上回った。子会社のダイハツ工業が3.8%増えたことなども貢献した。
上位3陣営とも世界の新車販売全体は前年を上回っており「1000万台クラブ」の地位を固めつつある。ただ「100年に1度の変革期」といわれる自動車業界では将来技術への投資もかさんでいる。新興国での台数成長を取り込みながらも、日米欧など特に環境変化が見込まれる地域では稼げるビジネスモデルの確立も急務になっている。
自動車産業に詳しい経営コンサルティング会社、ローランド・ベルガー日本法人の長島聡社長は「CASEに代表されるように自動車産業自体が変わっていく中では、各社それぞれのブランドのユニークな所を高めないといけない」とし、「以前の様に台数や規模だけを追う世界であれば自動車をどこで造り、どう部品を調達するかで済んでいたが、今後はそれぞれの土地や顧客に目を向けて、より現場起点で商品をつくっていく必要がある」と指摘する。