遺骨返還訴訟取り下げ アイヌ団体、国指針受け
北海道日高地方のアイヌ民族の有志団体「コタンの会」が北海道大と新ひだか町に対し、北大が研究目的で保管するアイヌの遺骨195体の返還などを求めた訴訟で、同会が訴えを取り下げていたことが、26日までに分かった。15日付。国が昨年12月に示した遺骨返還に関する指針を受けて、仕切り直すためとしている。
原告側代理人の市川守弘弁護士は「指針では、遺骨返還を受ける地域団体を国が審査するとしており、これまでの流れに反してアイヌの自主決定権を否定するものだ」とし、被告側が同指針に沿って主張するとみられたため、改めて今後の方針を検討する必要があると判断したという。
国が昨年12月に示した指針では、大学が保管している出土地域が明確な遺骨について、その地域のアイヌ団体が返還申請をした際、慰霊などを適切に行えるかどうか国が確認するとしている。
訴状によると、北大は北海道静内町(現新ひだか町)や浦河町で、墓地移転の際などに遺骨を発掘し、研究目的で持ち去ったとしている。〔共同〕