仏メディア「日産との関係改善期待」 ルノー新体制
【パリ=篠崎健太】フランス自動車大手ルノーが24日、カルロス・ゴーン被告の会長兼最高経営責任者(CEO)退任と新経営体制を発表したことを受け、仏メディアでは3社連合を組む日産自動車・三菱自動車との関係改善に期待感が出ている。協議の窓口役として日産の取締役にも入る見通しのジャンドミニク・スナール新会長の経営手腕に関心が高い。
仏紙フィガロ電子版はゴーン被告の辞任を了承した3時間余りの取締役会を経て、ルノーと日産の対立関係が「2018年11月の逮捕以来初めて1段階和らいだ」と伝えた。両社のトップとして長く君臨してきたゴーン被告の退任が緊張緩和につながるとの見方を示した。
AFP通信は、スナール氏が記者会見で3社連合は「絶対に重要だ」と述べたことを取り上げ、指名後の最初の仕事は「投資家を安心させることだった」と伝えた。フランスのテレビは新体制を「歓迎する」と述べた、同日の日産の西川広人社長兼CEOの記者会見の様子を繰り返し流した。
だが仏政府がルノーと日産を経営統合させたい意向を示したと先に伝わるなか、関係の再構築がすんなりと進む保証はない。AFP通信は3社連合について「ゴーン被告に代わるトップに誰が就くのかはっきりしないままだ」とし、先行きは不透明だと指摘した。
24日のパリ株式市場でルノー株は続伸し、終値は前日比0.89ユーロ(1.6%)高い58.30ユーロだった。一時は58.56ユーロと、18年12月6日以来約1カ月半ぶりの高値水準を付けた。
日産自動車が選択を迫られている。
内田誠新社長のもと、業績をどう立て直すのか、筆頭株主である仏ルノーとの関係をどう再構築するのか。