日産・西川社長「統合議論、今すべきでない」
日産自動車は24日、臨時株主総会を4月中旬に開催する方向で検討すると発表した。2018年11月の逮捕後も同社の取締役として残るカルロス・ゴーン被告とグレッグ・ケリー被告の2人の解任と、仏ルノーが指名する取締役1人の選任だけを目的とする。日産に対しては大株主のルノーが臨時株主総会の開催を求めていた。
「ルノー新会長を取締役に」
日産の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は24日夜、ルノーが新たな経営体制を決めたことを受け、横浜市内の本社で記者会見した。ルノーの新会長に就いたジャンドミニク・スナール氏を日産の取締役として受け入れる考えを明らかにした。西川社長は「(取締役を入れ替えて)ルノーの新会長にできるだけ早く日産の取締役に加わっていただき、一緒に議論したい」と説明した。
西川社長はルノーの新経営体制について「アライアンスでは大きな節目、新しいページを開いていく一歩で、歓迎する」と述べた。「これまで取締役会同士のコミュニケーションがやや難しい状態だった。これから良くなることを期待している」と付け加えた。
ゴーン被告を巡っては、企業連合を組む日産と三菱自動車が18年11月のゴーン被告の逮捕直後に会長職を解任した一方、仏側は「推定無罪の原則」を主張しルノーの役職からの解任を見送ってきた。ただ今回のルノーの新経営体制への移行で、ゴーン被告に対しての足並みがそろったことになる。
来週の取締役会で4月中旬の臨時株主総会の開催を決議する方針であることも明らかにした。ゴーン被告とグレッグ・ケリー被告の2人の解任と、ルノーが指名する取締役1人の選任に目的を限定する。西川社長は「(手続きを含めて)開催は最も早くて4月の第2週になってしまうが、ルノー側の理解も得ている」と説明した。
協定「どう変えるか、聖域なく検討」
「改定アライアンス基本合意書(RAMA)」と呼ばれる企業連合の協定について今後の扱いを問われた西川社長は、「RAMAに限らず、思っている問題点がいくつかある。どこをどう変えていくべきか、何をしたらいいのか。聖域はない検討を進める」とした。そのうえで「RAMAそのものはアライアンス規約として活動のベースであり、これを前提としてどうするのかが議論されるべきだ」と述べた。
ルノーとの経営統合の可能性については「いまその議論をすべきではない。いま時点で必要ではないと思っている。まず安心して働ける状況をつくるのが大事だ」と強調した。
コーポレートガバナンス(企業統治)の見直しのために設立した「ガバナンス改善委員会」については、「活発で深い議論を進めていただいている」と改めて説明。3月末までの提言を受けたうえで、「4~5月で日産としてどういう受け止めをして新たなガバナンスのあり方をどうするかを検討する」とした。
24日夜の記者会見では日産が会社としても起訴されるなど西川社長の責任と進退についても質問が相次いだ。「いま置かれた状況で(ガバナンス改革を進めるなどの)責任を果たすことにまず注力したい」と述べた。一方で、西川社長は「6月末うんぬんではなくて、私の責任を果たして次に引き継げる状態にしたい」と今後の進退に含みを残した。
日産自動車が選択を迫られている。
内田誠新社長のもと、業績をどう立て直すのか、筆頭株主である仏ルノーとの関係をどう再構築するのか。