東京医大の助成金をゼロに 医学部の入試不正で
柴山昌彦文部科学相は22日、医学部入試で不正があった東京医科大に対し、2018年度分の私学助成金を交付しない方針を発表した。日本大は不適切な医学部入試のほか、アメリカンフットボール部の悪質反則問題への対応が不適切だったとして35%の減額。ほかに不適切入試があった6校は25%の減額となる。
柴山文科相は同日の閣議後記者会見で「大学には重く受け止め、入試の公正性確保に取り組むよう強く求める」と述べた。
東京医大の広報担当者は助成金の不交付について「厳粛に受け止めている。これからは適正な学校運営に努めていきたい」とコメントした。
私学助成金は大学の教職員数や学生数などに応じて、国が日本私立学校振興・共済事業団を通じて交付。17年度は573大学に2943億円を交付した。東京医大への17年度の交付は約23億円、日本大は約91億円。
大学に不正などがあった場合は全額不交付や減額にすることになっており、入試不正を受けて同事業団の審議会が検討し、21日に減額幅などを取りまとめた。
東京医大では女子や多浪生らが一律に減点され、13~18年度で計178人が合格ラインを上回っていたのに不合格になった。特定の受験生の優遇と寄付金の関連性、国会議員の口利き疑惑も指摘されている。
入試不正は同省の私大支援事業を巡る汚職事件を機に発覚。同省前局長の息子を不正に入学させた前理事長、臼井正彦被告(77)らが贈賄罪で在宅起訴された点も踏まえ、不交付という重い措置をとる。
不交付の場合、翌年度分も支給されず、2年後に75%減、3年後に50%減、4年後に25%減となる。東京医大への全額交付は早くて23年度からとなる。
医学部入試では同省は日本大のほか、順天堂大、昭和大、岩手医科大、金沢医科大、福岡大、北里大の私大6校も不適切だと認定。女子や多浪生への不利な扱いや、卒業生の子供や地元出身者らへの優遇があった。一方で追加合格者の決定といった速やかな対応をしたとし、6校は25%の減額とした。
聖マリアンナ医科大も「不適切の可能性が高い」としたが同大が反論しており、18年度分は交付し、同大の調査結果などを踏まえ19年度以降の対応を検討する。
医学部入試を巡っては、不正寄付問題で帝京大が02年、過去5年に交付された助成金の一部に加算金を上乗せした約49億円の返還命令を受けた。